「先代は豪華だった」市川團十郎のコンパクト襲名興行に嘆かれる、父子の“器の大きさ”の違い
歌舞伎座で行われる『七月大歌舞伎』のチケットが6月14日から販売開始。昼の部には十三代目市川團十郎が主演を務める『星合世十三團』が上演されるが……。 【写真】麻央さんに似てきた…美人化が止まらない團十郎の長女・麗禾さん 「販売から1週間余りたちましたが、1等席と2等席は全日空席ありと売り上げは芳しくありません。2022年11月の團十郎襲名から続いていた地方での襲名披露巡業も、今年10月で終了します。本来であれば大いに盛り上がる期間中にもかかわらずこの調子ですから、歌舞伎興行を仕切る松竹は肩を落としています」(梨園関係者、以下同) 新しい團十郎の誕生は、歌舞伎界の未来を懸けた一大イベントになるはずだった。 「團十郎さんの父である先代の十二代目市川團十郎さんの襲名興行は莫大な予算を使い“30億円興行”といわれるほど大々的に行われて歌舞伎ブームのきっかけになりました。史上初の海外襲名披露興行をニューヨークのメトロポリタン歌劇場で開催しました」 先代の弟子だった歌舞伎役者は、当時の盛り上がりをこのように回想する。
“バブリー”だった先代の海外公演
「1985年に行った40日間のニューヨーク公演は豪華でした。舞台に必要な衣装や小道具が膨大で、コンテナを使って輸送していました。宿泊は高級ホテルで知られるエセックス・ハウス。当時のアメリカは歌舞伎の知名度は高くありませんでしたが、現地は歓迎ムード。先代には一番格式の高い楽屋が用意されました。“着付けやメイクを勉強したい”と興味を持つ現地のスタイリストもいました」 スケールの大きい興行だった父と、いまいち盛り上がりに欠けるその息子。両者の違いはいったい何なのか。 「先代はバブル景気のまっただ中。当代は不景気かつ2020年に襲名の予定がコロナ禍で延期と、それぞれの時代背景もあるかと思いますが、器の大きさもあるのでは」(松竹関係者、以下同)
先代の團十郎さんは温和な性格だったといわれている。 「19歳で父親を亡くした先代は後ろ盾がない中で歌舞伎の修業をしていました。芸の上達が遅く、周囲からは“不器用”と批評されていましたがとにかくマイペースに打ち込んでいました。普段から偉ぶらず、フリーペーパーからのアポ無し取材にも、にこやかに応じていたそうです」