初売り「お得商品」に長蛇の列 静岡県内商業施設、消費喚起へ多彩な企画
静岡県内の百貨店や大型商業施設の多くで2日、2025年の初売りが始まった。賃上げの進行で個人消費は緩やかながら回復の兆しが見えるが、物価上昇による節約志向もいまだ根強い。今年の干支(えと)は金運の象徴ともされる「巳」(み)。さらなる消費喚起へ、各店は購買意欲をくすぐる福袋や限定販売品など多彩な企画を凝らし、お得な買い物を楽しむ家族連れらでにぎわった。 静岡伊勢丹(静岡市葵区)では、午前9時の開店前から前年と比べ約2割増の約1100人が行列をつくり、食品の福袋を買い求める客を中心に混み合った。茶やレトルト食品の福袋を両手に提げた同区の会社員女性(56)は「毎年来ているが、今年はいつもよりにぎやか」と混雑ぶりに驚いた。今後は黒毛和牛など高級食材の抽選販売や有名和菓子の限定販売で来店促進を図る。秋野孝三社長は「脱皮を繰り返すヘビのように変化に対応する1年にしたい」と意気込んだ。
■サントムーン柿田川、抽選会が人気 買い物券1万円分などが当たる恒例の抽選会が人気を集めたのは、元日から営業を始めたサントムーン柿田川(清水町)。抽選を待ちわびる来店客の列が建物外にまで延び、予定時間から15分ほど早くスタートした。一方、予約販売が増えて、福袋目当ての行列は一部店舗にとどまった。西島俊則支配人(58)は「年末年始の連休が長く客足は分散している。予定や天候に合わせて必要な物をその都度購入している」と消費傾向を見極めた。
■遠鉄百貨店、和洋菓子コーナーに大勢の客 遠鉄百貨店(浜松市中央区)は働き手の負担軽減のため、初売りの開店時刻を昨年から30分遅い午前10時にした。店頭販売の福袋は200種5千個ほどを用意。ネット予約分も約2千個をそろえ、開店とともに人気の和洋菓子コーナーなどに大勢の客が詰めかけた。三宅隆史マーケティング戦略課長(46)は「混乱なくいいスタートを切ることができた。イベントを含め、リアル店舗としてお客さんが楽しめる百貨店でありたい」と話した。