多くの人が知らない、人手不足ニッポンが直面している「厳しすぎる現実」
この国にはとにかく人が足りない!個人と企業はどう生きるか? 話題書『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』では、豊富なデータと取材から激変する日本経済の「大変化」と「未来」を読み解く――。 【写真】いまさら聞けない日本経済「10の大変化」の全貌… 人手不足が深刻化している日本。その最先端を行く地方では何が起きているのだろうか。 人口減少が労働市場にどのような影響を及ぼし、経済の構造をどのように変えるのか。人口減少と高齢化が著しい地方都市の中小企業、例えば地方の新聞配達会社で起きていること――。 〈「近年は人手不足で配達がしきれなくなってきています。だいたい毎日1000部ほどは配達担当でない従業員が手分けをして配っています。 慢性的な人手不足に悩まされていますが、特にコロナ直前の2010年代後半あたりから、ますます厳しくなっている印象があります。 配達スタッフも徐々に高齢になっていて、最近では、朝突然、『体調が悪い』とか、冬には『転んだ』、といった連絡が入ることが頻繁にあり、どんどん配達員が離脱しています」〉(『ほんとうの日本経済』より) ある地方の建設業では「休みは増やさざるを得ない」という。 〈「以前は土日に仕事することも多々ありましたが、いまは日曜日は完全休みで土曜日もほぼ出社はありません。当時は同業他社でも年間休日100日は多い方だったのですが、他社が一気に増やしてきたのです。 このご時世、地元の高校に求人票をだすと休日数は非常にシビアに比べられます。私たちの時代は学生は初任給だけを見ていましたが、いまの若い人は休日の数を非常に気にしています。少ないと真っ先に就職先の候補から外されてしまいますよ。人員確保のためにも、休みは増やさざるを得ません」〉(『ほんとうの日本経済』より) 警備業界も近い状態にある。 〈「警備業界も今まで以上に高い給与水準や福利厚生がないと他業界に従業員が流れていきます。いまは募集をかけても、安い報酬では見向きもされません。逆に言えば、やっと警備員の方に仕事に見合うだけの報酬を支払うことができる業界になりつつあるのだとも言えます」〉(『ほんとうの日本経済』より) いくつかの業種を簡単に見るだけでも、人手不足の現実が見えてくる。 賃金や休暇など労働条件の見直さない企業は、市場から淘汰される日も近いだろう。 つづく「多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体」では、失われた30年を経て日本経済はどう激変したのか、人手不足が何をもたらしているのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部