「いずれラーメンじゃなくなるかもしれない」と開店時は思っていた…。ラーメン王国・山形県で一番人気「新旬屋」、意外すぎる店主の半生
山形市はラーメン外食費が1万7593円となり、前年に続き「ラーメン日本一」となっている。全国の都道府県庁所在地・政令指定都市の外食の消費額を調査したもので、2000年以降では最高額を叩き出している。 【画像11枚】名店「新旬屋 本店」の絶品ラーメン『金の鶏中華』 山形県は古くから「ラーメン王国」と呼ばれている。2021年のデータだが、ラーメン店の人口あたりの店舗数が最も多いのが山形県で人口10万人あたり57.92軒と、全国平均の19.22軒の3倍となっており、ダントツの1位になっている。
2023年に、山形県内4地域での街頭アンケートを通じて2000人近い県民からお気に入りのラーメン店を大募集し、山形のラーメン店BEST30を決める『われらラーメン王国「とっておきの店」BEST30』(山形テレビ)という番組があり、見事1位に輝いたのは新庄市にある「新旬屋 本店」というお店だ。 【画像11枚】ラーメン王国・山形県で人気トップに輝いた名店「新旬屋 本店」。絶品ラーメン『金の鶏中華』はこんな感じだ
名物は『金の鶏中華』。蕎麦ダレは使わず、鶏のスープに醤油と塩のカエシを加えたラーメンらしい鶏中華を仕上げた極上の一杯である。 小さな町・新庄から山形県人気No.1のラーメン店が生まれたのはなぜか。店主の半田新也さんを取材すると、その並々ならぬ努力の歴史が見えてきた。 ■道の駅などの施設を管理する会社で働いていた 半田さんは山形県最上郡戸沢村の出身。小さな村で、家の周りは360度山に囲まれた自然溢れる場所だった。ピーク時には年間60万人が訪れた「最上川舟下り」が有名な村だ。
高校を出てからは仙台の専門学校に通っていたが、姉2人が結婚し村を離れるということで、半田さんは戸沢村に戻ることになる。そこで戸沢村産業振興公社という温泉や道の駅など村の施設を管理する運営会社に入社した。 ここでは村の観光資源を活用し、村にお客さんが集まってくれるようなさまざまな企画に取り組んでいた。そうこうしているうちに村の特産品を作ろうという企画が持ち上がった。 山形は寒暖差が激しく、蕎麦の栽培に適しているということで、米の減反政策で蕎麦を栽培する人が増えてきた頃で、この地元産の蕎麦粉を使った特産品を作ることになった。そこで半田さんが思いついたのが韓国の「冷麺」である。韓国との交流が盛んだった戸沢村で、山形の蕎麦粉を使った冷麺を作ったらヒットするのではないかという考えだった。こうして生まれたのが「戸沢流冷麺」で、当時から20年数年経った今でも地元の特産品として人気になっている。