Bloomberg

（ブルームバーグ）： 欧州の新車販売台数は７月、前年同月比でほぼ横ばいとなった。欧州最大の乗用車市場であるドイツで電気自動車（ＥＶ）需要がさらに落ち込んだ。

欧州自動車工業会（ＡＣＥＡ）が29日に発表した７月の新車登録台数は前年同月比0.4％増の103万台。バッテリーＥＶ車はフランスや英国などで販売を伸ばしたが、ドイツでの37％減少を相殺できなかった。

欧州ではＥＶ補助金の廃止・縮小も一因となり、ここ数カ月、ＥＶ販売が低迷している。ドイツは昨年12月にＥＶ補助金制度を突然終了したほか、国内の景気悪化も個人消費を圧迫している。ＥＶ需要の後退に伴い、各自動車メーカーはガソリンなどで走るエンジン車の廃止計画を縮小したり、ペースを落としたりしている。

フォルクスワーゲン（ＶＷ）は、ブリュッセル近郊にあるアウディのＥＶ工場を閉鎖する可能性があるほか、さらなるコスト削減を模索している。ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者（ＣＥＯ）はは、今年上半期の純利益がほぼ半減したことを受け、業績不振のブランドに警告を発した。

メルセデス・ベンツ・グループも今年の利益率予測の上限を引き下げ、中期のＥＶ販売目標を撤回。エンジン車からの移行は予想よりも時間がかかる見通しだとした。

ブルームバーグ・インテリジェンス（ＢＩ）のギリアン・デービス、マイク・ディーン両アナリストはリポートで、「インセンティブの欠如や、新技術を真っ先に取り入れる人以外の関心が低いことを考えると、バッテリーＥＶ車の登録台数の伸びは今後も鈍化する可能性がある」と指摘した。

欧州ＥＶ市場の見通しは中国との貿易摩擦によりさらに複雑化している。欧州連合（ＥＵ）は中国がＥＶ産業に不当な補助金を出しているとして、中国から輸入されるＥＶに追加関税を賦課すると発表した。追加関税は11月までに発効する見込み。

７月の欧州の自動車販売台数に占めるＥＶの割合は13.6％と、前年同月の14.5％から低下した。ガソリン車の販売台数は8.4％減、ディーゼル車は11％減だった。一方、ハイブリッド車は24％増と大幅な伸びを示した。