「安全に稼げます」 信じた若者を吸い尽くす闇バイトの巧妙な手口
●応募してしまうと逃げられない
逮捕された実行役らは「家族に危害を加えられることを恐れ、抜け出せなかった」と供述することが珍しくありません。 通常、一般のアルバイトでも、応募や就業する際に、履歴書や運転免許証、学生証、健康保険証のコピー等の身分証明書類を提出します。 これを逆手に取ったのが、闇バイトです。普通のアルバイトだと思ってこれらを提出したところ、「お前の実家の住所も連絡先も全部分かってるんだからな」「逃げたり警察に行ったりしたら、お前の家族もどうなるか分かってるだろうな」などと脅され、逃げられなくなるのです。 警察庁のレポートでは次のような事例が紹介されています。 「住所だけでなく、家族構成や名前、勤務先等まで聞かれた」 「交際相手のことを聞かれ、彼女の名前や生年月日、顔写真を送信してしまった」 「自分が住んでいるマンションの入口から部屋までの道のりを動画撮影するよう指示され、送信させられた」 自分だけでなく、家族や交際相手の情報を送ってしまった負い目と恐怖から、「抜け出せない」と犯行を重ねてしまうことになります。 犯罪組織に取り込む手口も巧妙です。最初の数回は本当に違法性のない、そして割のよいアルバイトをやらせることもあります。 気がついたら犯罪に手を染めてしまっていて、「お前はもうこっち側の人間なんだからな。今さら抜けられるわけねえだろ」などと脅されるケースもあります。
●どんな刑になるのか
強盗の場合、5年以上の有期懲役(原則20年以下)になります(刑法236条1項)。最低で5年、というのは非常に重い罪です。 まだ強盗に至っていない準備行為の段階(強盗予備)でも、2年以下の懲役となります(同法237条)。 強盗して人を怪我させてしまった場合には、6年以上~無期懲役になります(同法240条前段)。 さらに、人を死亡させてしまった場合、死刑か無期懲役しかありません(同後段)。この場合には、法律の規定上、酌量減軽などが認められない限り、二度と社会復帰することはできないのです。 なお、「無期懲役になってもどうせすぐに出られる」という都市伝説がありますが、誤りです。法務省の公表するデータによると、2022年に仮釈放された無期受刑者は6人で、釈放されないまま死亡した無期受刑者は41人です。 また、仮釈放時点での平均受刑在所期間は、2022年で45年3ヶ月です。つまり、「ほとんど仮釈放されないし、仮釈放されたとしても、平均45年かかる」というわけです。