小池都知事が築地市場の移転延期を発表「安全性など疑問解消されず」
「11月7日予定の築地市場の豊洲新市場への移転は延期する。11月2日予定の築地場内市場の閉鎖、その後の解体工事も延期する」――。小池百合子・東京都知事は31日午後、記者会見を開き、築地市場の移転延期を発表した。今後、市場問題プロジェクトチームを設置して、土壌汚染の安全性などあらためて確認する方針。新たな移転時期については調査結果を受けて速やかに判断するとし、延長期間のめどは未定だという。 【中継録画】築地市場移転問題で小池都知事が会見
築地市場の豊洲移転について、小池都知事は「都民ファーストの視点から、3つの疑問点が解消されていない」として、安全性への懸念、巨額かつ不透明な費用の増加、情報公開の不足、の3つを疑問点に挙げた。 土壌汚染を調べるため、2014年11月から実施されてきた地下水モニタリング調査は、11月18日以降に第9回調査のための採水が行われる。小池都知事は、地下水モニタリング調査の完了を待たず、11月7日に移転が予定されていた点を疑問視。「2年間のモニタリング結果を見届けるのは、安全性の確認、説得力という面で譲れない」として、来年1月に公表される予定のモニタリング調査の結果を確認すべきだとの考えを示した。 「巨額かつ不透明な費用の増加」として、豊洲新市場の膨れ上がる整備費も問題視する。2011年2月の段階で計3926億円だった同整備費は、2013年3月には約4521億円、2015年3月には約5884億円に膨らんだ。増加が著しいのは、2011年2月の約990億円から2015年3月の約2752億円へと約2.8倍増えた建設費。小池都知事は、「都民の税金を預かる身としては、適正なのか明らかにしなければならないと思う」とした。 情報公開については、「約2752億円もかけた建物でありながら、そこで仕事をする市場関係者からいまだ不満が多数出るのはなぜなのか」と小池都知事は疑問を述べ、情報公開が不十分で伝えるべき情報が伝わっていないとの見方を示した。 今後、市場問題プロジェクトチームでは、地下水モニタリング調査結果の確認を含む土壌汚染の安全性、豊洲新市場の使い勝手などを検証する。豊洲新市場に移転、または廃業する市場関係者や、築地場外市場関係者への支援措置なども検討する。 移転時期は現時点では未定で、プロジェクトチームの調査結果を受けて速やかに判断するとしている。さらに移転中止もありうるかとの問いに対して、小池都知事は「プロジェクトチームの精査を待ちたい」と否定しなかった。 (取材・文:具志堅浩二)