実力派芸人たちが即興でミラクル連発…『THEゴールデンコンビ』刺激的現場を成立させた“職人”たちの舞台裏
ちなみに、オリジナルのテーマソングは、サーヤらのバンド「礼賛」が担当し、高比良くるまがボーカル&作詞という形で参加しているが、「賞レースと銘打っているものの、千鳥さんが“1日でちゃちゃっとやって1,000万円もらえちゃう”と言うように、優勝をかけて競う設定の中で、面白いお笑いをやりたいだけなので、サーヤとくるまがテーマ曲をやっているから勝負に有利になるみたいな視点は全く考えてないです(笑)」とのこと。 従来のテレビバラエティでオリジナルのテーマ曲を作るとなると、スタジオ収録に間に合わず、放送上で付けるというケースも多々ある中で、「今回はしっかり準備期間を設けて曲を作ってもらい、実際に現場で流すことでお客さんも高揚感を持って収録に参加することができたと思うんです。そこも配信ならではの贅沢なこだわりだと思います」と捉えている。
芸人を追い詰めるからこそ生まれる爆発力
これまで様々な角度で“即興お笑い”コンテンツを作ってきた橋本氏。今回の番組を通して、その魅力を改めて感じたようだ。 「『有吉の壁』のおかげもあって、即興でネタを見せる芸人さんの魅力や素晴らしさを知って、この前の『内村プロデュース』(テレ朝)の復活もめちゃくちゃ楽しくて、芸人さんの地肩のすごさを見させてもらいましたが、YouTubeやTikTokがどんどん世の中を席巻し、よりリアルなコンテンツが人に刺さるようになってきたと思うんです。 そこで、とても過酷だけど芸人さんが輝くステージを作りたいという欲求が自分にあった中で、『THEゴールデンコンビ』はまさにそういう場になったのではないかと思います。コントセットがステージにせり上がってくる、目の前に200人の観客がいる、自分が組んでみたいと宣言した相方とネタをやる……どこまで芸人さんを追い詰めるんだという話ですが(笑)、これを全部こなしたからこそ爆発力が出てくる。それが編集をしていても伝わってきます」 ■数か月経って「あの日は夢を見ていたのだろうか」 本番前は「胃が痛い」「不安だ」と吐露していた芸人たちだが、収録を終えると「今日はお笑いをやり切った!」と充実の表情を見せていたのだそう。「それがすごくいい顔でカッコよかったので、そういう場がPrime Videoさんの中に生まれたというのは、めちゃくちゃワクワクするし、楽しいなと思いました」と手応えを振り返る。 収録から数か月が経って、参加芸人と別番組の収録で会うと、「あの日は夢を見ていたのだろうか」といった言葉を聞くそうで、「皆さんの中に強烈に残った1日だと思ってもらえるのは、クリエイターとしてすごくうれしいです」と喜びに。 この感覚は、自身もこれまで番組を作ってきた中で、特に手応えのあった収録で覚えることがあったそうで、「『ゴールデンコンビ』の収録スタジオから自宅が近かったので、収録が終わってもあの感覚をゆっくり味わいたくて、誰とも飲みに行かず、一人で歩いて帰って、“こんな贅沢な時間はないな”という思いにふけていました(笑)」と明かした。 最近ではハナコ、吉住、かが屋ら出演する縦型ショートコントコンテンツ『本日も絶体絶命。』を手がけ、timeleszの佐藤勝利とダウ90000の蓮見翔が出演するYouTube発のコントライブ『佐藤勝利のすべて』(11月11日~13日、東京・ニューピアホール竹芝)も控える橋本氏。 「芸人さんもクリエイターも、作りたいコンテンツに熱量を持って取り組み、そこに応援してくれるプラットフォームさんとちゃんと向き合ってやっていくという形が改めていいなと感じているので、これからよりコンテンツファーストの時代が進むと思っています」と、身を持って感じているようだ。