宍道湖を不法に埋め立て原状回復に応じず 国土交通省が土砂撤去などの「行政代執行」開始(島根・松江市)
山陰中央テレビ
全国でもほとんど例のない行政代執行が始まりました。島根県松江市の宍道湖の湖岸に許可なく埋め立てられた土地について、国が行政代執行による土砂などの撤去作業を始めました。 国交省出雲河川事務・児子真也所長: ただいまから国土交通省中国地方整備局は、行政代執行法第2条に基づき、不法造成等の除却にかかる代執行を実施します。 行政代執行による撤去が始まったのは、松江市玉湯町の宍道湖岸の埋め立て地、約1600平方メートルです。 11日午前10時、国交省出雲河川事務所の児子真也所長が行政代執行を宣言し、土砂や草木の撤去作業に入りました。 田中祐一朗記者: 代執行が行われている場所ですが、下にはコンクリートブロックが敷き詰められ、中は草木が生い茂っていて、中の様子を見ることができません。 埋め立て地には樹木が植えられていて、コンクリートブロックやベンチなどが放置されています。ドローンによる撮影映像でも松などの植栽が生い茂っているのがわかり、全容を確認することができません。さらに東側は、埋め立て地によりせき止められた土砂が砂浜のようになっています。 宍道湖岸の浅い水辺の一部は、江戸時代に新田開発のために認められた私有地「水代」が分布していますが、治水上の観点などから河川管理者の許可なく埋め立てすることは原則禁じられています。 しかし国交省によると、この埋め立て地は1995年から不法に造成が始まり、これまで約30回に渡って「水代」の所有者と、不法造成した人物に原状回復を求めてきましたが、私有地であることを理由に応じていませんでした。 11日は、埋め立て地を覆っている草木の撤去、重機や資機材を搬入するために船の上から湖の底を掘り起こす作業が行われました。 国交省によると、湖の上に不法造成された土地を国が行政代執行で撤去するのは、全国でもほとんど例がないということです。国交省は、2025年度中の完全撤去を見込んでいて、費用は所有者側に請求するとしています。 出雲河川事務所・眞田淳二総括保全対策官: 土地所有者におかれましては、許可なく埋め立てを行う等の行為は禁止しておりますので、今後はそういう土地所有者含めまして、指導の方を進めてまいりたいと思っております。 宍道湖では、このほか4カ所の不法造成が確認されているということで、国交省は引き続き、撤去に向けて指導をしていくとしています。
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