秋ドラマ名作ベスト5。壮大な“日曜劇場”も感動したけど、圧倒的だったNo.1傑作は
権威につぶされた教師と、不平等を知る生徒たち
この作品は一貫して、“諦めたものを取り戻す場所”をベースに、登場人物たちの成長を描いていました。かつて「科学の前では、みな平等」という考えを権威につぶされた藤竹と、平等ではないことを思い知らされてきた生徒たちが支え合っていくことで、大きな成果を生み出すのです。 平等ではなくとも、一進一退したとしても、“人は誰もが変われる”。説得力のある彼らの“成長”に、勇気をもらった視聴者は多いのではないでしょうか。
全領域異常解決室
実は正直、第3話くらいで視聴を離脱しかけるも、途中から急激に引き込まれたのが『全領域異常解決室』(フジテレビ系)です。特に、大ヒットドラマシリーズ『SPEC』が好きな人には強く勧めたい! はじめは、藤原竜也演じる超常現象のスペシャリスト・興玉雅(おきたま・みやび)が、最先端科学でも解明できない、不可解な異常事件を解決する物語としてスタート。神隠し事件などで犯行声明を出していた謎の人物“ヒルコ”の謎を追っていました。しかし第5話のラストに急展開。
変わることのない人間の営みと現代の闇を描く
興玉は、「全領域異常解決室」(通称“ゼンケツ”)の一員である雨野小夢(広瀬アリス)に「“やおよろずの神々”が、今もそれぞれの時代の人間の姿をして生きている」と説明し、「僕も神です」と告げました。えっえっえーーーー?! と大混乱! “ヒルコ”は、自分に不都合な“神”の御霊をもつ人間(神)たちを消していたというではありませんか。 そこからも事件を通じて二転三転するたびに、物語の見え方が変わりどんどん引き込まれていきました。好き嫌いの分かれる分野であり、ツッコミどころもありましたが、今も“やおよろずの神々”を大切にする日本を舞台に、変わることのない人間の営みと現代の闇を描く興味深い作品でした。
海に眠るダイヤモンド
今回の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)は、とにかく壮大で豪華! というだけではない作品です。 1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島で起きたさまざまな物語が、主人公・鉄平(神木隆之介)のノートに記され、それは現代に生きる鉄平とそっくりなホストでありもう1人の主人公・玲央(神木隆之介/二役)へと繋がっていきます。 鉄平を主人公とする端島編は、“何もないけれど夢と活力に満ちあふれた時代”を生きる鉄平をはじめとする若者たち(杉咲花、土屋太鳳、池田エライザ、清水尋也、斎藤工)による群像劇。繊細な心理描写とともにイキイキと描かれており胸が高まりました。 一方で、無気力なホスト・玲央を中心とした“一見して何でもあるけれど若者が夢を持てない”現代編は、謎も多く「端島編がどう現代に結びついていくのか」に注目が集まりました。