「パリのホームパーティーで息子さんと」中山美穂さん、岩井俊二監督らが語る“女優魂とすっぴん顔”
デビュー40周年に「一緒に仕事を」
また一緒に映画を作りたいと話していたが、ようやく実現したのは2012年の『新しい靴を買わなくちゃ』。脚本と監督は北川悦吏子氏で、岩井氏はプロデューサーを務めた。当時、2002年に結婚した辻仁成と、2004年に出産した息子とパリで暮らしていた。 「全編フランスで撮影しました。中山さんがパリでホームパーティーを開いてくれたのが印象に残っています。アットホームな雰囲気で、辻さんと息子さんにも会いましたよ」 2020年の映画『ラストレター』では中山さんはゲスト出演で、ロケは数日ほどだった。 「“終わりたくない”って言われて“今度は長編映画の企画を持っていくね”と話していたんです。でも、また何年も過ぎてしまい、後悔がありますね。『Love Letter』が来年30周年なんです。彼女も来年デビュー40周年のメモリアルイヤーとなるはずでした。1月か2月あたりに小樽に行って一緒に仕事できないかって話していたんですが……」
中山さんの歌手デビュー曲『C』のディレクターだった元キングレコードの福住朗氏も、やはり初対面で寡黙な人と感じたと話す。 「当時は売り込みが多くて、みんなよくしゃべる。その中で彼女はあんまり質問には答えずに頷いたりとか、そういう感じだったんです。この人はオーディションで落とされるだろうなって思いましたよ。だってしゃべんないんだもん(笑)。でも雰囲気はすごくあるんですよ。目力が強くて、オーラがほかの人と違うんですよね」
「うちには明菜がいるから」
中山さんが所属していた芸能事務所『ビッグアップル』の創業者・山中則男氏は、中山さんをどう売り出すか悩んでいた。そんなとき、ワーナー・パイオニア(現ワーナーミュージック・ジャパン)の故・寺林晁さんに相談した。 「寺林さんは、中森明菜さんの制作宣伝を統括した“育ての親”だったので、デビュー前に相談したんです。寺林さんは“うちには明菜がいるから、うちじゃないほうがいい。明菜の二番煎じでは絶対に売れない”と話していました」(山中氏) オーディションには軒並み落選したものの、デビュー曲の『C』は大ヒットして、中山さんは歌手としても人気が爆発。超多忙な生活に。 「ドラマやって、取材やって、夜レコーディングやって、そういう感じの日が続いていたから。殺人的なスケジュール。ずっと走り続けている感じですよ。とにかく駆け抜けたって感じかな。すごい精神力がないと難しいですよね」(前出・福住氏、以下同) 福住氏はレコード会社を退社後に岡山に移住。2024年4月、中山さんが広島でライブを開催した際に会いに行った。