「健康診断の数値」が正常でも安心できない…「太ってないのに糖尿病」の人に不足している“意外な栄養素”
多くの人にとって「糖尿病は太っている人がかかる病気」というイメージが強いと思いますが、糖尿病専門医の矢野宏行氏によれば、じつは「やせている人、とくに女性は油断禁物」だそうです。 血糖値や糖尿病について、まだまだ誤った知識が蔓延している中、健康診断の数値を鵜呑みにしてはいけない理由について矢野氏が解説します。 ※本稿は、矢野氏の著書『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』から、一部を抜粋・編集してお届けします。 【イラスト】見た目がスマートでも、筋肉量の少ない人は「糖尿病」に要注意!
■「やせているのに糖尿病」になる人は意外と多い 糖尿病の患者さんに太っている人は多い。これは事実です。 肥満の原因は糖質の過剰摂取がもたらす高血糖ですからね。糖尿病と直結しています。 しかし最近は、やせているのに糖尿病になる人が増えてきました。とくに外見を気にしている女性に多いです。なぜそういうことが起こっているのか。理由を説明していきます。 やせている人でも、たんぱく質をしっかり摂っていたり、トレーニングをしていたりするのであれば問題ありません。危険なのは、そもそも小食の人や、食事制限のダイエットをしてやせた人です。
たんぱく質を摂らずにやせると、もちろん脂肪は減りますが、同時に筋肉も減ってしまいます。ただ減るだけでなく、質も落ちてきます。エネルギー源のブドウ糖を取り込んで消費するという能力自体が、減退してしまうのです。 すると、消費されなかったブドウ糖は中性脂肪となり、脂肪細胞に蓄えられます。これが、見た目はやせているのに、体の中は内臓脂肪と皮下脂肪だらけという状態をつくります。脂肪肝になる人も少なくありません。
脂肪肝になると、肥満か否かにかかわらず、インスリン抵抗性が増し、血糖値が上昇していきます。そしていつの間にか、糖尿病になってしまうのです。 ならば、しっかり食べて体重を元に戻せばいいかというと、なかなかそういうわけにもいきません。極端なダイエットをした人が食事の量を増やすと、最初に脂肪がついてきて、筋肉が後回しになるからです。そうすると、やせる前よりもさらに代謝が悪い状態になり、筋肉の割合が増えてこないにもかかわらず脂肪だけが増えてくる、というスーパー悪循環に陥ってしまいます。やせている人、とくに女性は油断禁物です。