ADHD治療薬の長期使用で「脳卒中」や「心筋梗塞」などの心血管疾患リスク上昇
心血管疾患(CVD)とは?
編集部: 今回の研究で登場した心血管疾患について教えてください。 中路先生: 心血管疾患は、心臓や血管に関連した病気のことを指します。脳に血液を送っている血管が詰まる「脳梗塞(脳卒中)」、心臓に血液を送っている血管が塞がる「心筋梗塞」、または全身へ十分な血液を送ることができない状態の「心不全」などがあります。また、下肢の動脈が細くなり詰まってしまう「閉塞性動脈硬化症」も当てはまります。 心血管疾患のリスクになり得る因子は、一般的に下記が挙げられます。 ・喫煙 ・高血圧 ・糖尿病 ・脂質異常症 ・CKD(慢性腎臓病) ・肥満 ・高尿酸血症 ・加齢 ・家族歴 ・睡眠時無呼吸症候群
今回の発表内容への受け止めは?
編集部: スウェーデンのカロリンスカ研究所らの研究グループが発表した内容についての受け止めを教えてください。 中路先生: 今回の研究はあくまで後ろ向きの観察研究であり、直接的な因果関係があるとは言えませんが、ADHD治療薬の長期投与に関しては、心血管疾患の発症の兆候に関する経過観察の必要性が示唆されます。ただし、必要性のある治療薬を避けるべきではなく、患者・家族側と医師側の双方の話し合いでリスクとベネフィットを考慮した上で、安全な長期処方を選択することが望まれます。
編集部まとめ
スウェーデンのカロリンスカ研究所らの研究グループは、「ADHD治療薬の長期使用が心血管疾患リスクの上昇と関連している」と発表しました。ADHD治療薬を長期間使用する際には、主治医とこうしたリスクについても協議する必要がありそうです。
【この記事の監修医師】
中路 幸之助 先生(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター) 1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。