都民向け無料冊子「東京防災」はなぜ一般発売されるの?
東京都は16日から都民向けに無料配布してきた防災ブック「東京防災」の一般発売を始めました。東京では首都直下型地震がいつ起きても不思議ではないといわれています。近年はゲリラ豪雨による水害も多発し、木造密集地域では火事への備えも怠れません。とはいえ、なぜ都民向けの無料冊子をわざわざ一般発売するのでしょうか。
イラストふんだん「高クオリティー」
「東京防災」はB6判340ページ。大地震が発生した場合の避難のシミュレーションや、実際に災害が起きた際に役立つ知恵を解説したマニュアル、災害に関する基礎知識など、災害に対する事前の備えや発災時の対処法などをまとめたものです。 都は9月1日から都内の各家庭に「東京防災」を無料で配布してきました。制作を担当した東京都総合防災部防災管理課はこう話します。 「東京は1000万人もの都民が居住しており、地域が抱える事情はさまざまです。そのため、防災体制も地域ごとに異なります。また、防災意識も地域ごとに差があります。『東京防災』を制作した背景には、災害は決して他人事ではないということを再認識していただきたいという思いがあります。災害が起きれば、行政も動きます。残念なことですが、そこには限界もあります。災害が起きたとき、自分の身を守ってもらうために防災意識を高めてもらえればと思っています」 自治体が地域住民のために無料で配布する冊子は、これまでにもありました。しかし、その多くは無味乾燥的な内容でした。「東京防災」はイラストを多用して情報が簡潔にまとめられています。行政が作成したとは思えない高いクオリティで、それらを手にした都民がツイッターなどSNSで「役に立つ」「必携」と発信。ネットなどを中心に評判が広がり、新聞やテレビなどでも大きく取り上げられました。
東京に通勤する他県民らが要望
「『東京防災』は配布直後から評判は上々で、問い合わせもたくさんいただきました。神奈川県・埼玉県・千葉県などに在住していても、通勤・通学しているために昼は東京で過ごす時間が長い方は多くいます。そうした方たちからも『ほしい』というリクエストをいただいていました。また、都民の方からも『一家に1冊ではなく、2冊、3冊ほしい』というリクエストが多く寄せられました。そうした背景から市販することに決めたのです」(同)