ウォン相場急落にも外貨準備高増加…「実弾」投入控える韓国金融当局
昨年12月3日の非常戒厳事態後にウォン相場が急落したが、先月の外貨準備高はむしろ増えた。世界的なドル高傾向に国内政治不安が重なりウォン安の流れを変えにくい状況で生半可に「実弾」だけ使い果たしかねないという金融当局の判断が作用したと分析される。 韓国銀行が6日に明らかにしたところによると、昨年10-12月期の対ドルの平均ウォン相場は1ドル=1396.84ウォンで、世界的金融危機当時の2009年1-3月期の1415.22ウォンから15年ぶりに安値水準を記録した。6日にも前営業日より1.3ウォンのウォン安となる1469.70ウォンで取引を終え劣勢を継続した。 だが外国為替当局は市場介入量を大きく膨らませずにいる。まず外貨準備高が昨年4156億ドルで、年末基準では2019年の4088億2000万ドル以降で最小水準である点を考慮した。 当局関係者は「世界的に見ればウォンだけ弱くなっているのではないため中途半端に介入してドルだけ使い果たす結果になる。外貨準備高は為替相場を防御する最後の砦であるだけにむやみに使ってはならない」と話した。韓国開発研究院(KDI)も「過去多くの新興国で為替相場防衛に向け外貨準備高を使い果たして通貨危機が発生した経験を思い起こす必要がある」として当局に慎重な対応を注文した。 実際に月別で見ると昨年12月末基準の外貨準備高は4156億ドルで、前月より2億1000万ドル増加した。ここには金融期間が年末に自己資本比率を合わせるためドルを韓国銀行の口座に入れて預置金が増えた影響もある。 金融当局は代わりに外国為替市場で大口投資家である国民年金を動かして市場を安定させる計画だ。国民年金が為替ヘッジに出ればウォン相場が一定水準以下に落ちる際に保有した海外資産の一部を売却する。市場にドルが供給されてウォン相場が上がる効果が現れる。戦略的為替ヘッジを最大に稼動すれば昨年10月末基準で国民年金海外資産の10%に当たる482億ドルを市中に供給する効果があると分析される。2日に韓国銀行のユン・ギョンス国際局長はこれと関連し、「為替相場安定に寄与するだろう」と明らかにしている。