生田斗真のキャリアが活きる作品に? 山下敦弘監督『告白 コンフェッション』への期待
生田斗真とヤン・イクチュンがW主演を務める映画『告白 コンフェッション』が5月に全国公開されることが発表された。 【写真】『鎌倉殿の13人』対峙する小栗旬と生田斗真 1998年に『ヤングマガジンアッパーズ』で連載された、『カイジ』などで知られる福本伸行と『沈黙の艦隊』のかわぐちかいじのタッグによる同名コミックを原作とした本作は、山小屋で極限状態に置かれて、死を覚悟し、最期の“告白”をしてしまった男とそれを聞いてしまった親友の男の一夜が描かれる密室劇だ。脚本は、『風の残響』の幸修司と『オーバー・フェンス』の高田亮が手がける。 生田が演じるのは、告白を“聞いてしまった男”・浅井啓介。一方、告白を“言ってしまった男”・リュウ・ジヨンをヤン・イクチュンが演じる。 大学山岳部OBで親友の浅井(生田斗真)とジヨン(ヤン・イクチュン)は、16年前、大学の卒業登山中に行方不明となって事故死とされている同級生の西田さゆりの17回忌となる慰霊登山中、猛吹雪により遭難してしまう。脚に大怪我を負ってしまい、死を確信したジヨンは、実は16年前にさゆりは自分が殺害したのだと浅井に“告白”する。長きに渡り背負ってきた十字架を降ろしたことで安堵し、死を受け入れたジヨンだったが、その直後、眼前に山小屋が出現し、ふたりは一命を取り留めることに。薄暗い山小屋の中、明け方まで救助隊が来るのを待つ間、浅井はジヨンの態度がどこかおかしいことに気づく。「ジヨンは明らかに告白したことを後悔しているに違いない……」。この上なく異様で気まずい空気が流れる山小屋内。そして、ジヨンの行動は常軌を逸し始め、狂気をはらんでいくのだった……。 生田は、本作がフリーランスとなってから初の公開作品となる。テレビドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(フジテレビ系)の中津秀一役で一躍人気となった生田は、映画『土竜の唄』シリーズにも代表されるようなコミカルな表現を得意としている。 その一方で、トランスジェンダーで男性の恋人と暮らし、恋人の甥に無償の愛を注ぐリンコを演じた『彼らが本気で編むときは、』(2017年)や、水道料金を滞納してしまっているふたり暮らしの幼い姉妹の家へ、停水執行に行く市の水道局職員の岩切を演じた『渇水』(2023年)のように、生田は一言では表しきれない人間の複雑な感情を言葉だけではなく、仕草や表情で丁寧に見せることもできる。 監督を務めるのは、『リンダ リンダ リンダ』(2005年)、『苦役列車』(2012年)、『オーバー・フェンス』(2016年)などの作品が高く評価され、最新作『カラオケ行こ!』(2024年)の公開も控える山下敦弘。 山下は「難航するシナリオ作業、さらにコロナ禍での2度の撮影延期という憂き目を経て、ようやく映画化することが出来ました」とコメントを寄せており、本作について「途中、何度も心が折れそうになりましたが、どうにか形にしたいという監督としての意地と、プロデューサーたちの粘りの結晶」と語っている。個性溢れるキャラクターの魅力を引き出すことに定評のある山下監督が、自身のキャリアでも初のジャンルとなる密室劇で、極限状態に置かれた2人の男をどのように描くのかに注目していきたい。 原作では日本人の石倉というキャラクターだった設定が、韓国から来た留学生のジヨンへと変更され、もう一人の主演はヤン・イクチュンが務める。監督・脚本・主演作『息もできない』(2008年)で国際映画祭・映画賞で25以上もの賞を受賞し、菅田将暉とW主演を務めた『あゝ、荒野 前編/後編』(2017年)でも数々の映画賞を受賞している実力派俳優だ。 本作の舞台は他に逃げ道のない山小屋という密室で、ジヨンが「狂気をはらんでいく」というストーリーからは、気の抜けない緊張感あふれる2人の駆け引きが展開されることが予想される。生田がどんな演技を見せ、そしてヤン・イクチュンとどのような友情を見せてくれるのかに期待が高まる。
久保田ひかる