【めざせ!甲子園】球児、指導者は今… 高校野球の未来語る 熊本大会6日開幕
第106回全国高校野球選手権熊本大会の開幕を前に、KABの実況解説者や取材記者らが独自の視点で語り合いました。座談会後半のテーマは「熊本の高校野球の現在と未来」です。 【動画】開幕直前!座談会 2024熊本大会の展望
「選手との距離が近い」センバツ出場校の監督
「ここ数年、熊本を支えてきた重鎮の監督が引退している。東海大星翔を率い2度の甲子園を経験した野仲監督、センバツ出場の熊本国府を指揮する山田監督と、若い監督の力で熊本を盛り上げてほしい」と話すのは取材歴20年のKAB吉村記者。
熊本県野球連盟の栫理事長は「熊本国府の山田監督は、熊本県の野球界指導者の中では珍しいタイプ。冷静で大声で怒ることはないが、放任ではない。選手たちは、監督の顔色を伺わず自らのペースで練習している。今後は(山田監督のような)監督が増えるのではないか」といいます。 KAB永島ディレクターも「第一印象は選手との距離が近いこと。怒るのではなく諭すような指導の仕方。チームの雰囲気もよく、選手は監督の目を気にせず、自由に取り組んでいる」と話しています。 指導者だけでなく、選手にも変化が見られるといいます。 自身も高校球児だった朝日新聞の吉田記者は「私の頃は監督の顔色をうかがっていた。今の子どもたちは、理由を説明して納得できないとやらない。疑問があれば何でも聞きに来いと話している監督が多い」と話します。
永島ディレクターも「和気あいあいとした高校が多いことに驚く。また、昔よりネットなどの情報量が多く、選手たちの幅が広がった。綺麗なフォームでスマートな野球をする球児が増えた印象」と語りました。 熊本の野球情報をSNS等で発信している自然人さん(ペンネーム)は「去年ベスト8の大津は、長髪OKで週休2日。昔ならば考えられないが、それで結果を出している」また、吉村記者も「楽しみを知った上で、勝つ喜びを知れることは良いこと。大津は新しい高校野球の形を作るきっかけになるのでは」と話しました。
増加する連合チーム 野球人口の問題
近年、野球人口の減少が叫ばれています。少子化をはじめ、様々な要因が指摘されていますが、熊本大会でも、複数の学校でチームを編成するケースが増えてきました。 熊本県高校野球連盟の齋藤理事長は「今年は60校出場だが52チームで、6校連合チームもある。部員数も過去10年で1300人弱減少。真摯に取り組んでいくべき課題」と話します。 2024年大会に出場する連合チーム ◆天草・牛深 ◆鹿本商工・高専熊本・菊池農 ◆御船・矢部・甲佐・湧心館・松橋・八代農 熊本の野球情報をSNSで発信している自然人さん(ペンネーム)は「中学校でも、強豪校や生徒数が多い学校で連合チームになってきていて、野球離れの加速を感じる」と危機感を訴えます。 「部活動が地域移行したことにより、親の送迎がマストになり、やりたくてもできない子どもが今後増加するのではないか」と話すのは野球少年の親でもある吉村記者。朝日新聞の吉田記者は「練習過多で野球を続けられない子どももいると聞く。野球を続けられるような指導方法や取り組みを考えていく必要がある」と訴えます。 県高野連では、去年、県選抜チームを結成し、沖縄選抜チームと交流試合を実施しました。齋藤理事長は「交流を通して感じた野球の楽しさを地元に持って帰って伝えてもらいたい。10年、20年先を見据えた取り組みが必要」と話します。 また、栫理事長は、12団体で『熊本県野球・ソフトボール連絡協議会』を設立して野球教室などを開催。保育園や小学校低学年の子どもたちなど底辺の拡大に力を入れているとしました。