40歳で「年収500万円」の会社員。老後「年金だけで暮らす」ために、年収をいくら増やす必要がある?「月30万円」受け取るための金額を試算
「退職金と年金だけで悠々自適に老後を暮らせる時代は終わった」などと言われることも少なくありません。それでも「老後はできる限り年金だけで暮らしたい、あまり働きたくない」と考える人も多いのではないでしょうか? 本記事では、「65歳から年金を受け取り始めるケースを想定し、現在40歳で年収500万円の会社員が年金を月30万円もらうためには現役時代にいくら稼ぐ必要があるのか」について解説します。 なお、今回は国民年金と厚生年金に加入しており、保険料の未納や免除、滞納等は全くなく満額納付しているものとします。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
老後にもらえる年金は主に2つ
老後に会社員が基本的に受け取れるのは老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類です。前者は国民年金、後者は厚生年金に加入して保険料を納付し、受給資格を得られると受け取れる仕組みです。 老齢基礎年金は、受給要件を満たせば原則65歳から満額で月額6万8000円(2024年度)もらえます。保険料納付済機関や免除期間などを合わせた受給資格期間が10年以上なければならず、保険料の納付状況によっては受給額が減ることもあるので注意しましょう。 一方、老齢厚生年金では老齢基礎年金の場合と異なり、厚生年金保険への加入期間や納付する保険料額によって受給額が変わるのが大きな特徴です。老齢基礎年金は現役時代の収入規模によって変わるものではないため、老後にもらえる年金額を増やすためには実質的に老齢厚生年金部分を上積みする必要があります。
老齢厚生年金を月額23万2000円もらうには?
老齢基礎年金は月額6万8000円もらえるため、年金だけで月額30万円をもらうためには老齢厚生年金を月額23万2000円受け取れるようにしなければなりません。 老齢厚生年金は一般的に報酬比例部分や経過的加算、加給年金額を合わせて計算されますが、今回は話を分かりやすくするために報酬比例部分のみで試算してみましょう。報酬比例部分は加入期間によって次の2種類の計算方法が存在します。 ・(2003年3月以前の加入期間)平均標準報酬月額×7.12/1000×2003年3月までの加入期間の月数 ・(2003年4月以降の加入期間)平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数 18年前に22歳で大学を卒業して働き始めたとすると、今回は全て「2003年4月以降」の計算式が適用されます。また、現在の年収が500万円ですが、仮に22歳から40歳までの18年間の平均標準報酬額が42万円で一定であるとします。これを計算式に当てはめると年額約49万7236円です。 年金を毎月30万円もらうためには老齢厚生年金が年額278万4000円必要なので、228万6764円不足します。不足金額をもらうために必要な平均報酬額は約139万721円となります。つまり今から65歳までの25年間で、平均月額140万円近く稼がなければならない計算となります。 仮に新卒から定年まで43年間平均標準報酬額が変わらないとしても、年額278万4000円の老齢厚生年金を受け取るためには、月額約98万円稼がなければなりません。 国税庁が発表している「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、年間平均給与は男性が563万円、女性は314万円となっています。給与階級別では「1000万円超」は男女合計で全体の5.4%しかおらず、年金のみで月30万円もらうのは非常にハードルが高いといえます。