「IQが異常に高いオタク...」実在する経営者のヤバい人生を描いた映画(1)。世界最大のSNSを作ったのは?
ビジネスで成功し、大金持ちになる夢を持つ人は少なくないだろう。成功する秘訣があるなら誰しもが知りたいと思うもの。しかし誰も思いつかないような天才的な発想を持つ人間や、成功への執念が強い者の人生は、並大抵ではない。だが大きな成功を収めるには、彼らの考え方は参考になる。今回は仕事のモチベーションアップに繋がる作品を5本紹介する。今回は第1回。(寺島武志)
『ソーシャル・ネットワーク』(2010)
原題:The Social Network 製作国:アメリカ 監督:デビッド・フィンチャー 脚本:アーロン・ソーキン キャスト:ジェシー・アイゼンバーグ、ジャスティン・ティンバーレイク、アンドリュー・ガーフィールド、ルーニー・マーラ 【作品内容】 世界最大のSNSに成長したFacebookの創設者、マーク・ザッカーバーグが、天才肌かつエキセントリックな人物として描かれ、彼の親友だったエドゥアルド・サベリンの2人を軸に展開するノンフィクションの人間ドラマ。 【注目ポイント】 天才であるが故に非常識な振る舞いが目立つザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)に周囲が振り回され、そこから亀裂が生まれて訴訟にまで至る、というストーリー展開である。本作は裁判でザッカーバーグと敵対した、元盟友・エドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)の視点を元に構築されている。 同作でのサベリンは、ザッカーバーグの奇妙な言動や身勝手な会社運営に振り回されたり、タチの悪い女に引っかったり、次々と同情したくなるような不運に見舞われる。 その一方、主人公のザッカーバーグは、冒頭ではエリカ(ルーニー・マーラ)という女性にフラれ、その腹いせに彼女の悪口雑言をブログに書き殴った挙げ句、ハーバード大学の女性の顔を格付けするサイト「フェイスマッシュ」を作成し公開したことで、大学から処分を受ける。ザッカーバーグは、まさに「天才とバカは紙一重」を地で行く人物として描写されているのだ。 ザッカーバーグとサベリンの関係は当初は良好だったものの、音楽無料配信サービス「ナップスター」の創設者であるショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)が2人に接近し、Facebookの運営に関与するようになってから急激に悪化する。 天才肌同士で意気投合し、Facebookを飛躍的に拡大していくザッカーバーグとパーカー。それに対し、地道な努力が全く報われず、プライベートでは女性トラブルを抱えるサベリン。 パーカーに敵意を抱き、ザッカーバーグに対しても不信感を抱いたサベリンは、2人に無断で会社の口座を凍結させてしまい、それによって所持していた株の大部分を剥奪されるという報復を受けた結果、訴訟にまでもつれ込むことになる。 しかしながら、同作におけるサベリンの行動は、賛同はできないものの、理解はできる。その動機が「会社の悪事を暴く」ためであるのみならず、創業期のFacebookの活動に悪い障害を与えかねない、ザッカーバーグの身勝手な行動をたしなめるものだからだ。 乱暴な言い方をすれば、ザッカーバーグという人物は「IQが異常に高いオタク」である。そのせいで、敵を作ってしまう反面、最後には、元彼女に友達申請を送る人間臭い側面を垣間見せる。ラストシーンには、巨大企業に成長したFacebookのCEOではなく、単なる一人の青年の姿があった。
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