JERAが再エネ規模6倍目標、「兆円」規模の投資-IPOも視野
(ブルームバーグ): 国内最大の発電事業者JERA(ジェラ)は15日、2035年度までに2000万キロワットの再生可能エネルギーを開発するとの目標を発表した。開発中のものを含めた現行の再エネ容量からは約6倍となる。開発には莫大な資金が必要になると見込まれる中、新規株式公開(IPO)も視野に入れている。
東京電力ホールディングス(HD)と中部電力が折半出資するJERAは従来、25年度までに500万キロワットの再エネ開発を掲げ、最終投資決定したものを含めた累計は約340万キロワットだった。発表によると、今後は「質の高い案件への規律ある投資判断を前提に」再エネ開発を加速していく。
温室効果ガス削減に向けた各国政府の政策支援などにより再生可能エネルギーの導入量は拡大が続いており、国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の再エネ容量は28年までに73億キロワットと、22年比でほぼ倍増する見通し。JERAも成長の柱の1つとして再エネ事業を掲げ、昨年ベルギーの洋上風力発電大手パークウインドを約15億5000万ユーロ(約2500億円)で買収するなど取り組みを加速している。
JERAの可児行夫会長は12日のブルームバーグのインタビューで、新たな再エネ目標の達成に必要となる投資の規模は「兆円単位になってくる」と話した。液化天然ガス(LNG)や水素・アンモニア事業でも多額の投資が必要になるとし、株主資本を厚くしていくために「第三者の株主を招聘(しょうへい)したり、最終的にIPOというのはある」と述べた。
経済産業省の発電コスト検証ワーキンググループの試算では、日本における30年時点の太陽光(事業用)発電所の1キロワット当たりの建設費は10.6万-17.2万円、陸上風力では12.5万-31.2万円、洋上風力では50.7万円とされている。国や地域によって費用は当然異なってくるものの、JERAの新目標に単純に同試算を当てはめると、建設費だけでも2兆-10兆円規模になる。