320年前の“ごちそう”に舌鼓 江川家の献立再現 タイ入りなますやマグロかす漬け 伊豆の国
江戸時代末期の韮山代官江川英龍の業績発信に取り組む「江川英龍公を広める会」はこのほど、江川家に伝わる日本酒「江川酒」の蔵出しに合わせて、江川家の献立試食会を伊豆の国市内で開いた。会員ら約50人が、約320年前の「年中行事」の献立を基に再現した料理を試食し、歴史的な食文化をじっくりと味わった。 同市の飲食店「一(いっさい)」の戸田博史代表らが調理を担当した。当時の正月料理など伝承の味を忠実に再現したタイ入りのなます、マグロのかす漬けなど10品を準備。江川家が江戸城に土産物として献上していた伊豆産の干しダイを使った吸い物も用意した。 戸田代表は、学芸員で江川家の史料研究に携わっている橋本敬之副会長と相談しながら調理したといい、「史料に味付けまでは書いていなかったので、再現に苦労した」と話した。当時の献立については「薄味だったと思う。江戸時代は質素なイメージもあるが、具だくさんだった」と述べた。 会員らは米作りも行い、万大醸造(伊豆市)に依頼して約1年かけ醸造した江川酒も堪能した。こうじ量が多いことなどから、ワインのようなフルーティーな風味に仕上がったという。橋本副会長は「観光客にも魅力的な江戸時代のガストロノミー(美食)を伝えられたら」と期待を寄せた。
静岡新聞社