9回無死、貴重な本塁打を放った神村学園の入耒田（左）は、小田監督にグータッチで迎えられる（撮影・星野楽）

　◆全国高校野球選手権2回戦　神村学園4―3中京大中京（15日・甲子園） 　神村学園が夏の甲子園最多の79勝を挙げる中京大中京に逆転勝利。2時間26分の激闘を終え、グラウンドから一塁側横の通路へ下りる階段の手前で中京大中京・高橋監督から右手を差し出された小田監督は「こらえられませんでした…」。敵将のぬくもりがまだ残るその右手で顔を覆うと、涙が止まらなかった。 ■西短、神村が16強！【九州勢の結果一覧】 　この10年来、神村学園は中京大中京と交流試合を続けてきたが「一度も勝ったことがなかった」と小田監督。大舞台で実現した〝リベンジマッチ〟も五回までに2点のリードを許していた。クーリングタイムの10分間を使って「選手たちの〝心の火〟を燃やすような言葉をかけて活を入れました」と小田監督。これで顔つきが変わった選手が六回、3点を奪って逆転すると、九回には「野球をやってきた中で一番の当たり」という入耒田のソロ本塁打が飛び出した。先発のエース今村は134球を投げ抜き2試合連続完投。甲子園での見事な〝恩返し〟だった。 　3季連続の甲子園出場となる今夏は、優勝候補の一角の呼び声も高い。選抜大会優勝の健大高崎（群馬）、同準優勝の報徳学園（兵庫）、大阪桐蔭などの強豪が次々と敗退する〝波乱の夏〟にも、小田監督は「何とも思っていない。これが甲子園。どこの学校も厳しい戦いを勝ち抜いてきている」。目指すのは鹿児島県勢初となる夏の全国制覇。だから、喜びも一瞬。油断もなし。〝次の感涙〟の日は、もう心に決めている。