二枚舌のプーチン氏、意中の米大統領候補は誰か-意外にも特定困難
ロシア大統領府に助言するシンクタンク、外交防衛政策評議会の議長を務めるフョードル・ルキヤノフ氏は「誰がましで、誰が悪いか断言するのは難しい」と説明。「バイデン氏は極めて慎重で、常にリスクを計算していた。バイデン氏は良かったと、後になって思い起こすことになるかもしれない」と述べた。
プーチン氏が22年2月にウクライナを攻撃し、米ロ関係が冷戦以来最も冷え込んだ後ですら、バイデン氏はウクライナに供給する兵器の種類や米国製兵器によるロシア領内への攻撃に制限をかけた。
今年の大統領選に干渉しようとしているとして米国がロシアを公に非難した翌日、プーチン氏はからかうような口調で、薄ら笑いを浮かべながら「トランプ氏はロシアに極めて多くの制限と制裁を科した。これだけの措置を導入した米大統領は他にいない」と主張。「ハリス氏とは全く問題がない。同氏は恐らく、このような措置を控えるだろう」と続けた。
プーチン氏が米国の政治について話す時は、たいてい分断の悪化を狙っている。21年のNBCとのインタビューではトランプ氏に味方し、同年1月6日の議事堂襲撃事件を引き起こした暴徒らを擁護した。
トランプ氏もプーチン氏の二枚舌に感づいている。プーチン氏がハリス氏勝利を望むと発言したことについて、「侮辱されているのか、私に有利に作用することを狙っているのか、わからない」とトランプ氏は語った。
戦争の終わりは見えず、誰が米大統領選に勝利しても対ロ関係改善を優先する動機はほとんどないのが現実だ。ハリス氏は具体的な約束を避けつつも、ウクライナを「強力に支持」するとのバイデン氏の路線を踏襲している。
ハリス氏は外交政策でバイデン氏ほどの経験がないとみられ、フィリップ・ゴードン氏ら外交のベテランや高官の助言に大きく頼るだろうと見込まれている。ロシア当局の見方に通じた関係者は、主流派出身のハリス氏はトランプ氏よりも無難だろうと述べた。