今のアメリカは「ほぼトラ」ではなく「まじトラ」だ
しかも、ジョー・バイデン大統領は「選挙戦を降りない」とファイティ ングポーズを続けるも、17日、なんとこのタイミングで新型コロナウイルスに感染してしまった。いやもう、時に利あらずというか、前回の「アメリカ大統領選挙でバイデン氏は撤退するのか」(7月6日配信)でも指摘したとおり、もはや民主党の候補者差し替えは不可避なんじゃないだろうか。11月5日の投票日までには、まだまだ波乱がありうると考えておいたほうがいい。
■「まじトラ」で色分けされる「勝ち組」と「負け組」 となれば、現状は「まじトラ」(真面目にトランプ)と呼ぶのが適当ではないかと筆者は考えている。それでも、「どっちが勝つかわかりません!」と言っていた6月中旬までとは確実に状況が一変した。 「2025年1月20日に第2次トランプ政権が発足」というシナリオを、市場関係者は急いで頭に入れておく必要がある。とりあえずナスダック総合指数やS&P500種指数に比べて遅れていたダウ工業株30種平均が最高値を更新し、トランプ発言で為替が動くくらいには、市場は「トランプ大統領の復権」を織り込み始めている。そこで「トランプトレード」が始まるわけである。
来年1月からの政策変更を先取りして、すでに株式市場では「勝ち組」「負け組」が色分けされつつある。トランプ政権発足となれば、まずは防衛関連株、そして石油・天然ガスなどの地下資源関連、さらに規制緩和を当て込んだ金融関連銘柄などに注目が集まる。 逆に民主党政権下で優遇されてきた、再エネやハイテク関連には逆風となりそうだ。とくにEV(電気自動車)向けの補助金は打ち切りとなるおそれがある。ここへきてイーロン・マスク氏は大口献金を行い、トランプ応援団としての旗幟を鮮明にしているが、今後のテスラ株がどうなるかはまことに興味深いところである。
また、トランプさんは仮想通貨推進派と見られていて、ビットコインなどの暗号資産が値を上げている。15~18日まで行われた共和党全国大会では、トランプ政権の政策綱領(プラットフォーム)が公表されていて、その中にはちゃんと「暗号資産」の項目が入っている。「民主党政権下で行われてきた不当な取り締まりに終止符を打ち、逆にCBDC(中央銀行デジタル通貨)の創設には反対」という立場が記されている。 2024年版のプラットフォームは、共和党のホームページからダウンロードできる。そう長いものではないので、翻訳ソフトを使えば簡単に目を通すことができる。「トランプトレード」のヒントがたくさん詰まっているはずだ。