衆院選富山1区 自民への批判の追い風に 比例で復活当選の立憲・山さんの選挙戦
KNB北日本放送
衆議院選挙の富山1区では、立憲民主党新人の山登志浩さんが自民党の前職と大接戦となり、選挙区では敗れましたが比例代表で初当選しました。県内では立憲民主党として初の議席獲得です。自民党への批判が追い風となる中山陣営はどう戦ったのか、その選挙戦を追いました。 「ばんざーい」「ばんざーい」 「きょうは山が動いたとか、超えられない山はないと言う資格はない。今後正々堂々と胸を張って言えるよう粉骨砕身、衆議院議員としてこれから活動させていただきたい」 富山1区で自民党の前職と大接戦となり、比例で復活当選した立憲民主党の新人、山登志浩さん。 愛知県生まれの山さんは、父方の祖父母が射水市出身です。 愛知県で市議を通算13年、社民党全国連合の常任幹事も務め、4年前に富山市へ移り住みました。 「(社民党の)又市征治さんからいろいろとご指導をいただいて。ぼくの後継者にということで、頑張ってもらえないかと」 2年前の参議院選挙に立候補しましたが、自民党の現職に大敗しました。 野上 浩太郎 30万2951票 山登志浩 4万0735票 国政選挙2度目の挑戦となった今回の衆院選。 今月15日の選挙戦初日、第一声を前にしていたのはー。 「立候補したのでご挨拶を動画で配信したいなと思っています。やってみましょう」 「おはようございます!立憲民主党の衆議院富山1区候補者、山としひろです!」 若い世代にも政策を訴えようと、動画を配信。 「人にやさしい政治」をスローガンに、自民党の裏金問題追及をはじめ、経済政策や教育問題の訴えに力を入れました。 「なぜ裏金が組織的、常習的につくられて、それがどのように使われてきたのか、なにも説明されていない」 「あきらかに国民をなめている。こんな人たちに政権を引き続きゆだねることはできません」 「私、山としひろ、街頭で生まれた政治家です。26歳の時からこういう活動をしてマイクを握って今まで18年間頑張ってきました」 選挙戦を支えたのは、県内最大の労働組織、連合富山です。 連合富山 浜守秀樹会長「私たち働く者の議席をもう一度取り返す、奪還する大きなチャンスが今そこにあります」 連合富山に加盟する労働組合は、原発政策などを巡って溝がある立憲民主党と国民民主党に支持が分かれています。 今回、県内3つの選挙区で立憲と国民のすみ分けを図り相互に協力する方針を打ち出しました。 連合富山の定期大会。立憲と国民の推薦候補3人が顔をそろえました。 県内すべての選挙区に推薦候補を立てたのは、民主党が政権を取った2009年以来、初めてです。 浜守会長「2009年に私たちの働く者の議席を勝ち取った、その議席を取り戻したい、そのために1区2区3区それぞれに推薦候補を立てた。例えば物流の2024年問題だとか、教員の方が人不足だとか、半導体の供給問題だとか公正取引の問題だとか、こういう労働組合と会社との中では解決できない課題が山積している。その問題を解決せずに賃上げとか雇用はない。やはり国の仕組みやシステムを変えなきゃいけない。そのために私たちの代弁者を国会に送り出したいんだと」 選挙戦序盤に開かれた山陣営の総決起集会。 壇上には、立憲民主党県連の代表代行、岡﨑信也選挙対策本部長と並んで国民民主党県連の橋本雅雄幹事長、そして、2009年に民主党候補として富山1区を制した村井宗明元衆議院議員の姿もありました。 橋本幹事長「今回、連合富山の仲立ちによって立憲民主党、国民民主党の協力体制ができあがりました。私たち国民民主党も同じ思いで山としひろ応援しています」 村井宗明元衆議院議員「今回みんなで久しぶりに働く者の議席を取ろうじゃありませんか。どうでしょうかみなさん!」 「終盤になるにしたがって相当盛り上がってきている。若い人たちのすそ野が広がっている。高齢者のみなさんも家から出てきて握手してくれたり窓から手を振ってくれたり」 今月27日の投開票日。日付をまたぐころになっても1区は大接戦で結果が出ません。 KNBがライブ配信した開票所の様子を見つめます。 「1、2、3、4ー」 「4つ」「4万4000」 「ピロリン」「あー」「え?」「え?」「きゃー」 「確定出てしまったすごいショックー」 4万5000票余りを集めた山さんですが、わずか738票の差で自民党の前職に届きませんでした。 それでも、しばらくして、比例代表での復活当選が判明しました。 「ばんばんざいでうれしいなという気持ちにはなっていない。喜んでいる場合ではないと思っていて国民のみなさんの生活、物価高で賃金も上がらずに年金も増えずに苦しんでおられる方、困っておられる方がいるし、地域をあるいていると分かる。これから活躍する場を与えていただいたわけですから責任重大だと思っている」 連合富山の浜守会長に笑顔はありませんでした。 「これだけいろんな問題あっても勝ち上がってくるってことは強いんですよ。それくらい私たち組織も強くならなければならない。要するに地方議員をきちっと育ててつくってベースを作っていかなければー」 今回、山さんが選挙区で当選に至らなかった要因として、立憲、国民両党の県内組織の弱さがあげられています。 政権交代の実現に向けて関係者は、来年夏の参議院選挙など今後の選挙へ準備を急ぐ必要があるとしています。