<甲子園交流試合・2020センバツ32校>県岐阜商、反撃届かず 九回裏に本塁打 意地みせる /岐阜
2020年甲子園高校野球交流試合(日本高校野球連盟主催、毎日新聞社、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)は第2日の11日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場での第3試合に県勢の県岐阜商が登場し、明豊(大分)に2-4で敗れた。【横田伸治、熊谷佐和子】 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 県岐阜商は昨年11月の東海大会で準優勝して以降、今春のセンバツ、春季県大会、夏の岐阜大会、夏の甲子園が中止に。さらに同校内で新型コロナウイルスの感染が広がったことで、7月に行われた県独自大会の出場も辞退していた。約9カ月ぶりの公式戦となったこの日は攻守で苦しんだが、中盤以降に継投から流れを引き寄せ、九回裏には佐々木泰主将(3年)が今大会初の本塁打を放つなど意地を見せた。 ◇逆転の希望つなぐ 昨秋以来初の公式戦に臨んだ県岐阜商。主将の佐々木泰(3年)は試合前「3年になって最初で最後の公式戦。この1試合に3年間の全てを込めたい」と闘志を高めていた。 晴天で迎えた大舞台。先発出場した9人のうち投手の野崎慎裕、捕手の高木翔斗のバッテリーを含む4人が2年生。しかし野崎は立ち上がりに失策などで3失点、二回途中でマウンドを松野匠馬(2年)に譲った。 松野は祖父・勝治さん、父・文治さんに続き親子3代で県岐阜商として甲子園出場。持ち味の安定感を生かして内角外角にスライダーを投げ分け、3回3分の1を無失点と好救援、逆転の希望をつないだ。 打撃は六回まで9三振無得点と苦しみながらも高木、松野、宇佐美佑典の2年生が計4安打と反撃の機会をうかがう。七回に四球から岩田涼(3年)の安打、森の三ゴロで1点を返すと、六回から登場のエース森大河(3年)も、140キロ中盤の直球を武器に4回3奪三振1失点と意地を見せた。 九回裏には先頭の佐々木泰が渾身(こんしん)のスイングで打球をスタンドへはじき返した。主将で主砲、投手陣の一翼も担ったチームの立役者による会心の本塁打で2点差まで詰め寄った。逆転はかなわなかったが、幅広い選手が活躍し、これまでの努力と今後への期待を感じさせる試合となった。 ◇食事で選手支え、地元で声援 OB鹿島さん 下宿する県岐阜商の1、2年生の部員に毎日食事を提供している喫茶店「ベルエポック」(岐阜市福光南町)の店主で同校OBの鹿島靖夫さん(45)は高校の同級生、川部健さん(46)とともに店内のテレビで声援を送った。 鹿島さんは、勝てば連戦が続く普段の公式戦前は、体を動かしやすいよう脂質を抜いたメニューを用意するという。だが勝っても負けても1試合しかない交流試合直前の10日夜には、12人の選手を元気づけることを主眼に置き、国産牛のサーロインステーキを食べさせた。「緊張すると思うが頑張れ」と声を掛けると、選手も「頑張ります」と応じ、リラックスして試合に備えている様子だったという。 この日の先発は毎日食事を提供している野崎慎裕投手(2年)だった。鹿島さんは「知っている選手が投げるのはいちばん緊張する試合の始まり方」と固唾(かたず)を飲んで見守っていた。また二回の高木翔斗捕手(2年)の初ヒットや、九回の佐々木泰選手(3年)のソロホームランの場面では「よしよし」と拍手して喜んでいた。 ただ九つの三振を奪われるなどしたため、反撃は及ばなかった。三振を奪われる度に「うーん」と肩を落とすシーンもあった。鹿島さんは「中止や延期が繰り返されるなかでもくじけず、練習を続けてきたのはすごいこと」と選手をねぎらい「来春のセンバツでまた甲子園を目指して」と期待した。【熊谷佐和子】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽第3試合 明豊 120000100=4 000000101=2 県岐阜商