長崎県時津町、寄付額増加で小島よしおが町に サイバーレコードの返礼品開発が職員連携のきっかけに
長崎県時津町は2023年度のふるさと納税の寄付額が、前年度比38%増の4億9500万円となった。同町では、ふるさと納税支援を展開するサイバーレコードに、返礼品の開発支援やふるさと納税ページの制作、寄付の問合せ対応を委託している。同町では現在、サイバーレコードの返礼品開発の支援を受けて、「きくらげちゃんぽん」を開発しているところだという。開発に当たっては、町職員を対象に試食会を開催した。さまざまな部署の職員が積極的に意見を出し合うなど、連携が生まれるきっかけにもなっているという。ふるさと納税の寄付額が増加したことによって、芸人の小島よしおを夏祭りのゲストに呼べるようになるなど、町に活気が戻っている。 【画像5点】小島よしおが祭りに参加、人気の返礼品も紹介 <長崎市のベッドタウン> 時津(とぎつ)町は、長崎市の北側に面した人口約3万人の町だ。長崎市で働く人たちのベッドタウンにもなっているという。 同町で最も人気の高い、ふるさと納税の返礼品は、特産品のシャインマスカット。カステラや、プリン、冷凍パンといったスイーツも人気だ。 サイバーレコ―ドは、ECの運営代行を長年行ってきたことから、ウェブページの制作やマーケティングに強みがあるという。返礼品の魅力を引き出すため、写真や、ページのデザイン、キャッチコピーの付け方などを工夫。こうした取り組みが、多くの寄付を集めるのに役立っているという。 サイバーレコードでは、返礼品の写真の撮影も行っている。おいしそうで、シズル感のあふれる写真を撮影するのが得意だという。加工品の返礼品であれば、実際に調理している様子も撮影する。写真は、事業者に無償で提供しているという。 サイバーレコードは、時津町や、返礼品を提供する地元の事業者と、綿密に連携を行っている。こうした取り組みを行うのが同社のサービスの特徴だ。例えば、届いた返礼品の状態についてのクレームが寄付者から寄せられた場合には、「届いたときの状態」の写真を提供してもらい、問題の原因を配送業者に連携する。品質管理や梱包のアドバイスなども行うという。次回発送時に同様の事故が起こらないよう、事業者を継続的にフォローするのだとしている。 <「シコメル」で返礼品開発> サイバーレコードは、仕込みマッチングプラットフォーム「シコメル」とコラボした返礼品の開発も行っている。有名飲食店や、料理研究家のシェフとコラボした返礼品の開発が行えるという。 時津町も、「シコメル」の仕組みを活用。地元のキクラゲの生産者が育てる、キクラゲを具材とした、湯煎タイプのちゃんぽんを開発したという。 時津町では、「『きくらげちゃんぽん』の試食会を町役場で開催した際、若手の職員たちから、『キクラゲをもっと分厚くできないか』『4食入りで妥当な価格はいくらか』『冷蔵庫に入るサイズにするにはどうするべきか』といった建設的な意見が上がった。担当課でない職員からも本気の意見が聞かれた」(産業振興課有川氏)」と言う。 町の職員の、町に関する意識の活性化という副次的な効果もあったそうだ。 <スキマ時間に発送> サイバーレコードは、既存の製品を活用した返礼品の開発についてのアドバイスも行っている。例えば、地元のパン店「ブーランジェリー コナ」では、「コナのおまかせパンセット」を返礼品として提供しているが、この返礼品は、毎日生じる過剰在庫となったパンをセットにしているという。こうしたパンの中から店がチョイスし、安く提供している。地元では人気のパン店で、一つ一つのパンのクオリティーがとても高いという。 パンのセットは、店の従業員の勤務の隙間時間に発送できる。そのため、店の売り上げアップや、業務の効率化、商品ラインアップの拡充にもつながっているという。 パンのセットの企画のアドバイスも、サイバーレコードが行ったとしている。 <小島よしおに祭りが沸く> 時津町では、ふるさと納税の寄付が大幅に増加していることが、町内の活気の向上にもつながっているようだ。 2024年に開催された「とぎつ夏まつり」には、子供たちの間で人気が高い、芸人の小島よしおをゲストとして招いた。 同町ではこれまで、夏祭りには地元の人をゲストに招くのが通例だった。夏祭りの運営も担当している産業振興課の職員が、「コロナも明けたので、夏祭りを盛り上げたい。有名なゲストを呼び、子どもたちの思い出を作りたい」と、山上広信町長に直談判したのだという。 すると、「ふるさと納税の寄付金が増えているから」と、活用できる予算を増やしてくれたそうだ。その結果、小島よしおを呼ぶことができたという。 夏祭り当日は、子どもや子育て世代の大人を中心に、多くの人でにぎわったという。「会場全体に、子どもたちの笑い声があふれていた。子供たちが大人になっても、思い出に残るイベントになったのではないか」(有川氏)と話す。 こうした地域の活性化の背景には、ふるさと納税の寄付が増えていることと、サイバーレコードの支援があるのだとしている。 【サイバーレコードのふるさと納税運用代行サービス】 これまで、支援した自治体のふるさと納税の寄付額を、4倍以上に増加させた実績もある。現在、北海道から九州まで、数十自治体を支援している。「挑戦にあふれる地域を作り続ける」という軸を持ちながら、地域・社会に向けた課題解決をワンストップで支援している。
「日本ネット経済新聞」記者 星野 耕介