世界のホットコイル市況、米国のみ上昇。欧州は5カ月ぶり700ドル割れ
世界的な鋼材市況の低迷が続く中、米国市場のみ「逆行高」が進んでいる。 鉄鋼メディアのカラニッシュによると、先週時点で北米の熱延コイル市況はショートトン当たり830~840ドル(メトリックトン換算で920ドル前後)と1カ月間で70ドルほど上昇。一方、欧州北部ではトン当たり630~660ドルとジリ安が続き、ドル換算では690ドルと5カ月ぶりに700ドルを割り込んだ。アジア圏は下げ止まり感があるものの、鉄鉱石など原料価格の上昇に比べ鋼材市況の反応は鈍い。 米では電炉最大手のニューコアが4月8日から毎週、スポット顧客向けのホット販価「CSP」を公表。先週は初値のショートトン当たり830ドルから5ドル高の835ドルとし、これが市況にも浸透しているようだ。22日のCSPは835ドルで据え置いたが、世界の中で米ホット市況の水準は高い。 一方、欧州のホット市況は買い付けの動き自体が弱く、域外からの輸入鋼材による下押し圧力も燻ぶり続けている。コスト高から現状が底値圏とみられているが、不需要期のバカンスが近づき当面は上伸力に乏しい。 アジア市況も底値を形成する中国からの汎用ホットは500ドル台前半、大方は500ドル後半のレンジ内で底ばいが続く。内需が堅調なインドも総選挙を控え足元は停滞感があり、設備改修で需給調整を図る動きも出てきている。イスラム圏のラマダンは明けたものの、インドの総選挙が6月まで行われることや東南アジア市場がこれから雨季に入ることもあり、季節的に商いは盛り上がりにくい。 鋼材市況の軟化や中国で減産の兆しが出てきたことを受け、中国勢が買い付ける鉄鉱石のスポット価格は今月初旬に一時100ドルを割り込んだ。ただ先週には115ドル前後へと3月上旬並みの水準へ値を戻している。この間にアジアのホット市況は数十ドル、欧州では100ドル近く値を下げたままで、米国を除いた海外鉄鋼メーカーのマージンは厳しい情勢に直面している。