コインランドリー活況、数減らすクリーニング店◆変わる令和の暮らし、背景は?【時事ドットコム取材班】
◇お出かけスポットにも
スタイリッシュな店内が特徴のコインランドリー「バルコランドリープレイス」も、2017年にオープンして以降、年々数を増やしている。17年に5つだった店舗は、約7年で240店に。中にはカフェ併設や、ペット用品専用のマシンが設置されたランドリーもあり、運営する「OKULAB(オクラボ)」(東京都渋谷区)の担当者は、「家事を済ませることができつつ、ある種のお出かけスポットとして、夫婦や子ども連れで来られる方も珍しくない」と話す。 各家庭に洗濯機が普及している現在、どのようなシーンでコインランドリーが選ばれているのか。6月上旬、「バルコランドリープレイス代々木上原」を訪れた人に話を聞いてみた。「大きいものは家で干す場所が限られているので、乾燥まで一気にやってくれるのがありがたい」と語るのは、友人と毛布を洗いに来た大学生の男性(23)。「コインランドリーの良いところは、自分が好きなときに来られて、好きなときにピックアップできるところ。普段着る服は基本的に家で洗濯できるので、自分ではクリーニングに出したことがない」と明かした。 会社員の女性(28)はスニーカーを洗いに訪れたという。「靴は家で手洗いするのがしんどいので、コインランドリーの方が、タイムパフォーマンス(タイパ)がいい」。普段は出張帰りなど、1回でたくさんの洗濯物を洗いたい時に利用するという。「毎日利用すると金額が大きくなってしまうが、単発で利用すると飲み代ぐらいなので、少し楽をしたい時に便利」と語った。 ◇「時間をお金で」続くタイパ意識 さまざまな理由でクリーニング店が数を減らし、代わりにコインランドリーの需要が伸びてきた現代。今後もこのトレンドは続いていくのか。前述の野村総合研究所チーフコンサルタントの松下東子氏は、「効率化や時短につながるタイパは、特に若い世代で強く意識されている。その世代がこれから世帯形成していくことを考えると、大型の洗濯機で素早く洗って乾かせるコインランドリーは、今後も支持されるだろう」と分析する。さらに、「共働き世帯は安さよりも利便性を重視する傾向が強い」と指摘。「共働き世帯が増えた今、ダブルインカムで財力がそれなりにある場合、コインランドリーや宅配クリーニングなど、時間をお金で解決しようと思う人も多い」と話す。 一方で、クリーニングに関しては、「店舗が減っていく中で、持ち込みや引き取りのアクセスが課題になる」との見方を示す。「わざわざ車に乗って、遠くのクリーニング店に持っていくことはますます難しくなる。短いサイクルで安価なファッションを消費し、『装い』にお金をかけない現代で、遠くに散っている小粒な需要をどれだけ集約できるかが、これからの生き残りにつながるのではないか」と語った。