青果店から製菓店に 珠洲出身・椿原さん、津幡で米粉専門店開業 震災で実家が半壊、閉店
能登半島地震で実家の青果店を失った珠洲市出身の男性が、津幡町で米粉菓子の製菓店を開業した。「心と体に優しい米粉の魅力を伝えたい」と一念発起し、無添加、県産食材にこだわり、安全でおいしい菓子を提供する。地域の「八百屋さん」として親しまれた父親の青果店のように、愛される「お菓子屋さん」を目指す。 ●「おいしくて体に良いものを」 昨年11月に津幡町南中条で米粉菓子店「Comecobito(こめこびと)―椿原製菓―」をオープンしたのは、パティシエの椿原佑軌(ゆうき)さん(34)。珠洲市飯田町で約60年続き、震災で半壊、閉店した実家の「椿原青果」にあやかり、「セイカ」の字を「製菓」に変えた。 椿原さんは、母親がうどん店を営んでいたことから食の世界を志し、県内外の店で腕を磨いた。香港料理店で米粉のシフォンケーキを作るうちに「もっとおいしくて体に良いものを作りたい」と考え、趣味でレシピ開発するほどのめり込んだ。 結婚で津幡に移り住んだのを機に「自分の店を持ちたい」と米粉菓子店の開業を決意。店では白山市産の米粉、かほく市高松産の紋平柿など県産食材をふんだんに使ったシフォンケーキやマフィンを毎日5~7種類並べる。 店で提供する商品は可能な限り無添加とし、食物アレルギーのある人でも食べられるよう、乳製品の代わりにオーガニック豆乳を使用する。豆乳生クリームやフルーツをトッピングしたカップシフォンが人気で、今後はタルトやカヌレを販売する予定という。 椿原さんは「米粉の魅力や食べることの楽しみを伝えられるようなお菓子を作っていきたい」と話した。