対策急務の耐性菌、15種を公表 WHO、研究開発促進
【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は17日、既存の抗菌薬が効きにくく世界の医療現場で深刻な脅威になっている薬剤耐性菌15種について、対策の優先度順で3グループに分類したリストを公表した。致死性や感染力などが評価基準で、対策の必要性が高い細菌を明示し、政府や民間の研究開発資金投入を促す狙いがある。 WHOによると、耐性菌に絡む死者数は2019年に495万人に上ったとの推計があり、新たな抗菌薬や治療法の開発が課題となっている。 リストは緊急性が最も高い第1グループとして、いずれも難治性感染症への切り札として使われる抗菌薬カルバペネムに耐性を持つ「アシネトバクター・バウマニ」と「腸内細菌目細菌」、肺炎などの感染症治療に広く使われる第3世代セファロスポリン薬が効かない腸内細菌目細菌、結核患者の第1選択薬の中でも特に強力なリファンピシンに耐性がある「結核菌」の4種類を挙げた。 今回は17年に公表したリストを更新した。WHOの中谷祐貴子事務局長補は「抗菌薬耐性の脅威は増している」と警鐘を鳴らした。