森保Jを「史上最強」と煽る必要はない。過程の評価はどうでもいい。最終予選を強化の一環に。だとすれば、なおさら気になるのが――
22歳の藤田は結局一度もピッチに立てなかった
過去を振り返れば、W杯のようなビッグトーナメントで結果を残してきたのは、その多くが世代間の融合に成功したチームだった。分かりやすい例が、08年のEURO、10年W杯、12年のEUROとメジャートーナメント3連覇を成し遂げた当時のスペイン代表だ。 シャビ、イケル・カシージャス、シャビ・アロンソ、ダビド・ビジャの1980~81年生まれ世代と、アンドレス・イニエスタ、フェルナンド・トーレス、ダビド・シルバの84~86年生まれ世代が奇跡的な融合を果たしている。 遠藤、南野拓実らのリオデジャネイロ五輪世代と、堂安律、三笘薫らの東京五輪世代が融合した現在の森保ジャパンだが、リオ世代が軒並み30歳の大台を迎える1年半後を見据えれば、さらに下の世代、つまりパリ五輪世代の融合にも、早々に着手しておくべきだ。 鈴木彩艶を正GKに抜擢した一方で、この10月シリーズでA代表に招集された同じくパリ五輪代表チームのキャプテン、22歳の藤田譲瑠チマは結局一度もピッチに立てなかった。 仮に遠藤不在のオーストラリア戦で、すでに実力を把握している田中碧ではなく、藤田を起用していたら──。もちろん失敗していた可能性はあるし、なにもこの大一番でテストする必要はないという考え方が一般的なのかもしれない。 しかし、経験の浅い若手をひとり加えただけで揺らぐほど、今の日本代表の基盤は脆弱ではない。それは間違いなく、W杯に向けての大きな財産になったはずだ。 乱暴な言い方をすれば、「過程」での評価などどうでもいいのだ。大切なのは「結果」であり、それを得るためにこのアジア最終予選という場をいかに活用するか、ではないか。 なにしろ、手のひら返しが得意なメディアは、本番で結果が出なければ、華々しかった過程などなかったかのように忘れ、「史上最強」のフレーズをこっそりと引き出しの奥にしまい込んでしまうのだから。 文●吉田治良
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