【相撲編集部が選ぶ名古屋場所2日目の一番】大の里、若元春にも敗れ連敗。大関陣はそろって初日を出す
今場所の主役と思われた男が、星勘定の上ではよもやのスタートとなった
若元春(押し倒し)大の里 「もしかしたら物言いがついてくれるかも」とでもいうように、ちょっと土俵回りを見渡しながら二字口に戻ったようにも見えたが、物言いはつかなかった。 大の里が若元春に押し倒され、連敗。今場所の主役と思われた男が、星勘定の上ではよもやのスタートとなった。 この日は、立ち合いは悪くなかった。モロ手突きから、勢いを生かして一気に前に出る。ここまでの流れは、連勝していたこれまでの対若元春戦と同じだ。しかしこの後、ちょっと相手の肩の辺りにいった右手が滑ってしまった感じで、若元春に得意の左を差されてしまった。過去の対戦では、左を差されることはあっても、その前にかなり相手を追い込んでいたが、今度ばかりは相手を十分に崩せていない中で左差しを許したのだから苦しい。右手で首を巻き、引き足を見せながらなんとかしようとしたが、一気に出られて、左からの突きで振りほどくのが精いっぱい。最後は体が割れたが、大の里のほうが先に倒れながら土俵を割る形になった。 【相撲編集部が選ぶ名古屋場所2日目の一番】朝乃山、418日ぶりの本土俵で白星 「きのうよりは前に攻めていけたけど、相手にいいところを取られてしまったので、もう一回考え直したい」と大の里。相手の若元春が「(大の里は)立ち合い強いですよ。あっという間に土俵際に持っていかれて焦りました」と言っているぐらいなので、相撲内容としては、あす以降に響く負け方ではないと思うが、とにかく気持ちの上では、焦りを呼ばないためにも早くすっきりした1勝が欲しいところ。「まだ13日間あるので、ここからしっかり集中して頑張りたい」という大の里の言葉に期待したい。 「(最後、自分が)、バランスを崩したところで、相手がまだ手をついてないのが見えて、ヤバいと思いましたが、何とか残しました」という若元春は、きのう圧勝した阿炎戦に続いて関脇を連破しての2勝となった。この日は若隆景も昨年3月場所13日目以来の幕内勝利を挙げ、さらには若隆元も強い相撲で白星発進と、大波三兄弟で白星そろい踏み。上げ潮ムードでいよいよあすは横綱照ノ富士に挑戦する。もしも1月場所のように横綱を倒すことができれば、一気に主役の座に躍り出ることになるが、さてどうなるか。 その照ノ富士はこの日、しばらく見ていなかったような思い切った立ち合いの踏み込みを見せ、このところ連敗と苦手にしていた明生を圧倒、こちらも連勝とした。初日は何とかしのいだという内容だったが、この日は強さを見せた勝ち方で、2日間安定した勝ちっぷりの関脇霧島とともに、優勝争いを引っ張っていきそうな空気も漂ってきた。 初日に全滅した大関陣は、この日は全員が初日。琴櫻と豊昇龍がこのままトップグループに食いついていける星を重ねていけるかどうかで、優勝争いの様相はだいぶ変わってきそうだ。 文=藤本泰祐
相撲編集部