「大学が就活を支援する」とは? 「どうせ自分なんて」と自信がない学生をサポート
志望校を選ぶ際、「就職の強さ」をチェックする人も多いでしょう。その「就職の強さ」で問われるのは、就職率や内定先などの実績だけではないようです。就職活動の具体的な作業の指導から、一人ひとりのメンタルのケアまで、大学のキャリアセンターの存在が、学生にとって大きな支えになることが多いです。手厚いキャリア支援で評判の大学に聞きました。 【写真】「学歴フィルター」は都市伝説? 就活生が語る「体験談」
「面倒見がいい」「就職に強い」といわれる大学の一つが産業能率大学です。キャリアセンターの橋賢聖さんは、「就職支援は本学が最も注力していることの一つです」と語ります。 「学部学生数が4000人ほどと小規模なため、学生と教職員の距離が近いことも特徴です。学生1人につき、ゼミの教員とキャリアセンターの職員が各1人ずつ指導につきます。1年次から必修のキャリア科目があるなど丁寧な教育を行っており、3年次からは本格的なサポートが始まります」 3年次になると、春に担当職員と1度目の面談があります。この時期は多くの学生の進路はまだぼんやりしていて、大学院に進学するか就職するか迷っていることもあります。その後、夏のインターンシップなどを経て、2度目の面談が秋に行われます。 「前向きな学生はこの時点で会社説明会への参加を重ねていたり、早期選考を受けていたりします。しかし、とりあえずインターンには行ったものの、まだ何となく動きあぐねている学生が多数派です。2度目の秋の面談はその中だるみを引き締めて、就職活動に本腰を入れてもらうのが狙いです」
本当にサポートが必要な学生とは
今では就活生の9割が参加するインターンシップについて、同大学では受け入れ先の探し方や参加方法なども授業で扱います。この授業は1年次から続く必修のキャリア科目で、23年度に内容をリニューアルしました。それまではキャリアについての理念などを学ぶものでしたが、特に3年次の授業を実際の就職活動に合わせて変えました。 「自己分析やメール送付時のビジネスマナーなど、早めに取り組んでおいたほうがいいことを盛り込みました。内定を得た4年生を招いて実体験を語ってもらったり、学生の自己PRを企業に見てもらったりもしています。インターンの経験をどう生かすか、個別相談で掘り下げることもありますし、ゼミでは模擬面接なども行っています」 メールの送り方やPCの使い方なども含めた具体的な指導も実施しますが、橋さんは、本当にサポートが必要な学生は指導を求めてこない層にいると言います。 「メールの作法などは、いわば表面的なスキルにすぎません。それを一度教わった学生の多くは、もう窓口に来ることもなく、自分で内定を勝ち取っていくでしょう。なぜなら、彼らはやりたいことや行きたい業界が見えていて、ビジネスマナーはそこに行くための手段だとわかっているからです。私たちがアプローチすべきは、その前段階で困っている学生たちです」