平賀勇成、“推し”笹森裕貴の魅力は「本当に役として生きている」 ファンを新しい世界に導ける存在になりたい
ドラマチックライブステージ『アイドルマスター SideM』や舞台『アイ★チュウ ザ・ステージ』など、2.5次元舞台を中心に活躍する期待の新鋭・平賀勇成がWEBザテレビジョンに初登場。俳優という仕事を選んだきっかけから、演技への想い、事務所の先輩かつ“推し”である笹森裕貴への想い、昭和歌謡と怖い話が好きという一風変わったプライベートまで、たっぷり語ってもらった。 【撮りおろし写真】絵画のような美しさの平賀勇成 ■「もっと舞台上で会話できるようになりたい」と演技に意欲 ──WEBザテレビジョンに初登場ということで、芸能界に入ったきっかけからお伺いします。きっかけは高校生のときに「男子高生ミスターコン」を受けたことですが、もともと芸能界には興味はあったのでしょうか? はい、幼少期にドラマ「GTO」を見て「反町隆史さんカッコいいな」と思って。そこから芸能界に興味を持ち始めました。小学校の頃から「将来の夢は俳優」っていろんなところで書いていました。 ──ミスターコンを受けたのは「これで芸能界に入るんだ!」という気持ちで? どうなんでしょう。「高校生のときにしか受けられないから、とりあえず受けてみよう」くらいの感覚で受けた気がします。 ──その後「自分は芸能界に進むんだ」とか「俳優を仕事にしていくぞ」と覚悟が決まったタイミングはありますか? いわゆる“2.5次元”と言われる舞台に初めて出たのが舞台「アイ☆チュウ ザ・ステージ」(2020年10月~)で、そのあたりから少しずつ「この道で食べていこうかな」という意識が芽生えてきたかなと思います。芝居で生活ができるようになったのがそのあたりからだったので。 ──ご自身のお芝居への手応えという面ではいかがでしたか? アプリゲーム「アイ☆チュウ」を原作にした作品だったのですが、原作を理解して上演したことで、原作ファンのお客様に喜んでもらえて。「頑張ってよかったな」と思えたので、手応えは感じていたのかなと思います。 ──そのとき、お芝居をするということに対しては面白いと感じましたか? それとも難しいと感じましたか? 今でも難しいなと感じます。でもだからこそ、稽古で苦労したぶん楽しいなと思います。最近は2.5次元だけでなく、いろいろなジャンルの舞台に立たせていただいていますが、アドリブだったり、アドリブに対応する瞬間だったり、役以外に自分の感性を出す瞬間というのがとても楽しくて。やっぱりお芝居は楽しいです。 ──アドリブを含めて、お芝居の中で自分の感性を出すということは、最初からできたことですか? それとも何かの作品や、誰かと出会ってから? 2023年に出演した舞台「桜姫東文章」という舞台で、セリフが口語体じゃなくて、昔の言葉だったんです。だから「言葉の意味がわからない人にでも、言い方や感情で伝えろ」と言われて。そこで、これまで以上に芝居について考えるようになりました。外面はもちろん、気持ちの部分もちゃんと考えないとお客さんには伝わらないんだということを、めちゃめちゃ感じた舞台だった。それをきっかけに、外面はもちろんですけど、ちゃんと中身のあるお芝居をするということ、感情をちゃんとセリフに乗せるということを、もっと意識し始めました。 ──その気付きを経てからお芝居に向かうと、お芝居をすることが面白くなりそうですね。 めちゃくちゃ面白いです! それまではアドリブのシーンでも、「このセリフが来たら、こう返す」というものを考えていたんですけど、「桜姫東文章」からは、来たものに対して、その役として、その場のテンションで答えるようになって。そしたら役を生きているという感じがして、すごく楽しくなりました。 ──では、これまでのキャリアの中で、ターニングポイントになった作品は「桜姫東文章」ですか? 圧倒的にそうですね。でも今は、もっと厳しい現場にいきたいと思っています。厳しい演出家さんに会いたい。もっと学べるところに行きたいなと思います。 ──上達欲が湧いているんですね。 うーん、うまくなりたいというよりも、もっと舞台上で会話できるようになりたいという感じです。そしたらもっと芝居が楽しくなると思うんですよね。だからもっと経験を積みたいです。 ■事務所の先輩・笹森裕貴が“推し” ──ここからは、平賀さんの“推し”についてお話を伺いたいのですが。 はい、笹森さん! ──まさに、俳優の笹森裕貴さんが推しだそうですが、最初に笹森さんに惹かれたのは何がきっかけだったのでしょうか? 昔、雑誌を見ていたら、たまたま推しが出てきて。 ──当時はまだ推しじゃないですよね?(笑) あっ、そうか(笑)。笹森さんが出てきて「めちゃめちゃカッコいい人がいる!」と思いました。そのときは芝居を見たわけでもなかったので、本当に顔に惹かれました。 ──今は同じ事務所で、共演もされていますが、同じ俳優という職業をしている今思う、笹森さんの魅力はどこですか? 去年「桜花浪漫堂 朗読劇『人間失格』」でご一緒させていただいたとき、笹森さんは主人公の葉蔵役だったんですが、終わったあと、いつも辛そうだったんです。辛くなれるって、それだけ役に入っていたということだと思うんですよね。1時間半くらいの作品だったんですけど、その時間ずっと役に入っていたということだと思うし、自分も役として会話していて本当に辛くなる瞬間が何回もあった。本当に葉蔵として生きているんだなと思いました。実は、終わったあと笹森さんの使っていた台本をいただいたんです。今は部屋に飾っているんですけど(笑)。その台本にはびっしり書き込みがあって。本当に細かく考えられている方なんだと思いましたし、そういうところも好きだなと思いました。好きです!(笑) ──共演した際、アドバイスなどは何かもらいましたか? 特にもらっていないです。というのも、今の段階での僕の考えなんですけど、演出家さんに言われたことを100で出せるのが俳優だと思っているんです。もちろん自分の自我だったり、「それどうなの?」って思ったりすることもあると思うんですけど、それを出さずに演出家さんのイメージ通りの芝居をする。何年後かには考え方が変わっているかもしれませんが、今はそう思っています。 ──では、共演中に笹森さんから言われてうれしかったことなどはありますか? 「今日、良かったよ」って言ってもらえた日はうれしかったですね。自分的にもうまくいったなと思う日に、そう言ってくれたんで。でもそれくらいかな。細かいことを言うタイプの方ではないので。 ──他人にアドバイスを求めない平賀さんと、細かいアドバイスをしない笹森さんという点で、お二人は相性がいいのかもしれないですね。 (笑顔で)はい、相性いいです! ■好きなものは「昭和歌謡と怖い話」というインドア派 ──お仕事から離れて、趣味についても聞かせてください。事務所のプロフィールには「趣味:1970年・80年・90年代の音楽を聴くこと、怖い話」とあります。まずは「1970年・80年・90年代の音楽を聴くこと」ですが、特に昭和歌謡がお好きだそうですね。 はい。 ──どういうきっかけで昭和歌謡を好きになったのでしょうか? 母がglobe世代だったので、小さい頃からずっとBoAさんやglobeさん、安室ちゃん(安室奈美恵)あたりを聴いていて。たぶん自分に合っていたんでしょうね、そこからどんどん遡っちゃって。イカ天(「三宅裕司のいかすバンド天国」)とかヒッパレ(「THE夜もヒッパレ」)とかを見始めて、小学1年生くらいのときには明菜ちゃん(中森明菜)にハマっていました。 ──昭和歌謡はどういうときに聴くのでしょうか? 毎日聴いています。基本的に朝起きたらレコードを回して。いい朝を過ごしています。今日は荻野目洋子さんを聴いてきました。 ──ちなみに、今特にハマっている歌手はどなたですか? 今は河合奈保子さんと本田美奈子さん。あと村下孝蔵さんですね。村下孝蔵さんを聴くと落ち着きます。昭和歌謡は、掘れば掘るほど良いので、ぜひ皆さんにも聴いていただきたいです! ──もう一つの趣味が「怖い話」。これはどういうことでしょうか……? 怖い話を聞きながら寝るんです。もともと不眠症なので、何かに意識を集中させていると無駄なことを考えなくていい分、すぐに眠れるというところから聞き始めたんですけど、今ではすっかり習慣になってしまって。あとは単純にゾッとしたり、ゾクゾクしたりする感覚がすごく好きで。それでよく聞くようになったのかなとは思います。寝るときに以外にも、心霊映像を見たりすることもありますし。 ──ホラー映画とかも? ホラー映画も好きですね。でも最近は“人コワ”が特に好きです。幽霊じゃなくて、人が起こす怖い話。 ──怖い話を見たり聞いたりして、怖くはならないんですか? あ、怖くはなります。でもそれがいいんですよ。「新しいものに巡り会えた!」みたいな感覚になるんです。むしろゾッとしたくて、怖い話を見たり聞いたりしています。 ──ちなみに休演日やお休みの日など、リフレッシュしたいときにすることは? 家で昭和歌謡を聴いて、怖い話を聴く(笑)。基本的に家から一歩も出ないので。他人からしたらつまんない休日を送っていると思います。僕はそれが幸せですけど。 ■自分をきっかけに、いろいろな作品に出会ってほしい ──平賀さんの人となりがよくわかったところで、俳優としての未来像や理想像を教えてください。 明確には決まっていないですが、今の第一目標は、地元の岩手で公演をすること。家族はみんな僕の仕事を応援してくれていて、お母さんはよく公演を見に来てくれるんですが、おばあちゃんはなかなか東京までは来られないので、まだ生で見せられたことがなくて。だから岩手で公演をして、おばあちゃんに生の舞台を見てもらいたい。その目標をクリアしてから、次の目標を考えたいなと思っています。岩手で公演って、なかなかできることではないので、今はとにかく目の前にある仕事を一生懸命やるだけです。 ──出演する作品が増えていくにつれて、ファンも着実に増えていると思います。そのあたりはどう感じていますか? 2月に出演した舞台(獣愛ブースト音楽劇「Lamento」)がBLものだったので、バースデーイベントで大量のBL本を頂きまして(笑)。でもそれをきっかけに僕のことを知ってくださった方が、次の作品も見てくれて「めちゃくちゃ楽しい」と言ってくださったり、何回も来てくださったりしたんです。それがすごくうれしかった。僕自身、舞台を見てから役者を始めたので、同じように僕が少しでも何かのきっかけになれたらいいなとすごく思っていて。応援してくださる方が増えるということは、それだけ、……言い方が上からになってしまうんですが、そういう機会を与えることができる。そのためにも、たくさんの舞台に出て、たくさんの人にいろんなジャンルの作品に出会ってもらえたらいいなと思いながら、この仕事をしています。 ──「自分を見てほしい」「自分を好きになってほしい」というよりは、自分をきっかけにいろんなものに触れてもらえるのがうれしい? そうですね。僕自身、笹森さんが出ている舞台を「全然知らないジャンルだけど見てみよう」と思って見てみたら面白くて、それが楽しみになって、生活が豊かになったりする。だから自分も、新しい世界に導いてあげられる存在でありたい。そのためにも、もっと頑張らないとなと思っています。 ■取材・文/小林千絵 撮影/市川秀明 スタイリング/齋藤了介 ヘアメイク/村田樹