「やみくもに賭けたら無一文に」東大卒ポーカープレイヤー×気鋭のエコノミストが明かす“勝負の極意”
リスク管理が重要である
エミン:リスクは必ず取らなければならない分、リスク管理が重要という点も共通しています。勝ちたいからといってやみくもに賭けていたら、どちらもあっという間に無一文になってしまいますからね。 木原:ポーカーではまず、テーブル選びでリスクを選択します。テーブルに座ってしまったら、その場では最大のリスクを取ってプレーするのが基本です。株式投資なら、ある銘柄に100万円投資してそれが80万円や50万円になることはあってもゼロになることはほぼありませんが、ポーカーではテーブルに置いたチップは常にゼロになる前提でプレーする必要があります。 ポーカーではレートの高いテーブルにいるような強い対戦相手に対して、リスクを抑えた中途半端なプレーをしても勝てません。スキルがある人なら、より高いレートのテーブルに座る方が時給が高くなりますが、そのようなテーブルでリスクを抑えて期待値を失うプレーをするのは本末転倒で逆にやられてしまいます。 高いレートを打つなら対戦相手のレベルが上がるのでなおさらリスクを取らざるを得ないし、それが難しいならレートの低いテーブルでコツコツ稼ぐ方が良い。要するにリスクとリターンはトレードオフなので、リスクを抑えて大勝ちするなんてできないんです。
損切りというリスク管理
エミン:ポーカープレーヤーの場合、ひとつのセッションで賭けるのは軍資金(=バンクロール)の5%ぐらいが一般的ですよね。株のデイトレードやFXトレードをする場合も同様に、ひとつのトレードで資産の5%以上をリスクにさらさないというルールを徹底する人もいます。こうしたバンクロールマネジメントは、習得すればそれで勝てるというものではありませんが、あっという間にすべてを失って退場という事態を避けるために必要なスキルです。 木原:リスクの調整は、株の方がコントロールしやすいと思います。投資金額だけでなく、銘柄選びや分散、レバレッジの有無を変えることでもリスクを調整できますから。 エミン:確かに、厳密なリスク管理や速やかな損切りが求められるのは、信用取引やFX、指数先物のように資金の額を超えたレバレッジ投資をするときです。余剰資金の範囲内で現物株式を持つ分には、そこまで厳格なリスク管理は必要ないし、その点はコントロールしやすいですね。 木原:僕は損切りのルールを徹底するというより、下落しても喜んで買い増しできるような銘柄を、損切りしなくていい金額に抑えて投資することが多いです。そうすると上昇したときのリターンも少なくなるので難しい判断ではありますが、両立はできませんから。資産の全額をひとつの銘柄にぶち込んでいたら損切りは必須だけれど、しっかり分散ができているなら株価が下がったという理由だけで損切りする必要はないと思います。