「遺族年金」が改正で将来が不安……。老後のために「死亡保険」を手厚くしたほうがいいでしょうか?
現行の公的年金制度のなかで、遺族年金は男女で差がある点が問題視されています。専業主婦世帯を想定した制度設計となっており、現在の共働き世帯の実情に合っていないと考えられるからです。 そこで、遺族年金制度を改正する議論が進められています。遺族年金は遺族の生活を経済的に支える重要な仕組みである以上、きちんと内容を理解しておきましょう。 今回は、遺族年金が改正されるポイントや、死亡保険へ加入する際の考え方について解説します。 ▼年金「月15万円」を受け取っていた夫が死亡。妻は「遺族年金」をいくら受け取れる?
遺族年金の改正のポイント
現行の遺族年金制度には男女格差があり、格差を解消するための改正が検討されています。 現行制度において、遺族厚生年金を受給できる方は、「子のない妻」と「子のない夫」で以下のような違いがあります。 ・子のない妻:年齢制限なし(子のない30歳未満の妻は5年間のみ受給できる) ・子のない夫:55歳以上である方に限り受給でき、受給開始は60歳から(遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給できる) 主な改正案として、20代から50代の子のない配偶者への遺族厚生年金を「5年間の有期給付」に変更する案が検討されています。また、子のない妻の有期給付の対象年齢を施行日から40歳に引き上げる案も出ているようです。 さらに男女差の解消のために、60歳未満の夫も新たに有期給付の対象に加えることが検討されています。
慌てるのは禁物? 遺族年金と死亡保険の考え方
遺族年金の改正が議論されていますが、すぐに改正されるわけではありません。仮に改正が決まったとしても、段階的な実施して緩やかに変更していくと考えられます。つまり、今から急いで死亡保険に入ったり、契約し直したりする必要はありません。また、今回の改正で影響を受けるのは「子のない配偶者」ですから、全員に関係する改正ではありません。 ただし、現在議論されている内容は総じて「給付の縮小」です。実際に万が一の事態が起きたとき、遺族年金による給付が不十分であれば、死亡保険で備える必要が出てくるでしょう。 死亡保険へ加入する際に考えるべきことは、以下のとおりです。 ・実際に万が一のことが起きたとき、用意すべき金額はいくらか ・資産状況はどうか ・公的制度から受けられる給付はいくらか ・公的制度から受けられる給付で不足するのはいくらか 保有している資産や公的制度から受けられる給付で不足する金額が、死亡保険で備える分になります。現在の家計状況や保有している資産、公的制度から受けられる給付を鑑みて、必要な保障を考えましょう。 死亡保険の保障が必要以上だと、余計な保険料を払う事態になりかねません。リスクに対して合理的に備えるためにも、必要十分な保険へ加入することを意識しましょう。
まとめ
現行の遺族年金は男女間に差があり、時代の変化に合わせるため、改正の議論が行われています。現在議論されている内容が実現すると、「子のない配偶者」へ対する給付が縮小されます。 死亡保険へ加入する必要性が生じると考えられますが、今すぐ加入する必要はありません。リスクに備えるために必要な金額と受給できる公的給付を把握し、必要十分な保険に加入すればよいでしょう。 出典 日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額) 厚生労働省 遺族年金制度等の見直しについて 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部