陸上・田中希実 2大会連続の決勝進出ならず 魂の走りで涙の11位 夢舞台で完遂「幸運になりますように」
「パリ五輪・陸上女子1500m・準決勝」(8日、フランス競技場) 女子1500メートルの田中希実(24)=ニューバランス=は3分59秒70で準決勝2組11着にとどまり、東京大会に続く決勝進出はならなかった。男子110メートル障害決勝で村竹ラシッド(22)=JAL=が13秒21で5位となり、この種目で日本勢初の入賞を果たした。第15日は男子1600メートルリレーの日本は決勝に進んだ。女子100メートル障害の準決勝で福部真子(28)=日本建設工業=と田中佑美(25)=富士通=はともに敗退した。 【写真】青い瞳がキッラキラ 抱きつく田中を迎える美しき豪州ランナー 「同姓同名やったかもしれないですね」。記者と名前が1文字違いの田中に、その由来を聞いたことがある。諸説はあるだろうが、私も田中も画数が同じで、それが縁起が良かったことが名付けの理由。「幸運になりますように」と願いを込められ、この世に送り出されていた同士だった。 その由来とは裏腹に、パリ五輪までの道のりでは苦悩を聞くことが多かったが、最後に自身の答えを見つけたようだった。1500メートル準決勝の後には、各社の取材に、その哲学的な言葉で丁寧に答え、ペン記者の取材エリアに現れたのは、レースを終えて約1時間も経過してからだった。 時折涙を浮かべながら約18分、これまでの葛藤や、そして五輪で得た「仲間の存在を改めて感じた」という気付きを語ってくれた。それがこの上なく『幸せ』なことだった。「(目標の)決勝の後ろにあるテーマとして、幸せをかみしめたいという思いがあった。そのテーマはちゃんと完遂できたんじゃないかと思う」。運命のいたずらなのか、夢舞台で名前に詰まった思いを実らせていた。(デイリースポーツ・田中亜実)