争点は「犯人性」起訴された暴力団幹部の初公判、来春の可能性 王将社長射殺事件11年
中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん=当時(72)=の射殺事件は19日で発生から11年となった。すでに実行役とされる暴力団幹部が逮捕、起訴されており、関係者によると早ければ来春にも初公判が開かれる可能性がある。しかし指示役の特定には至っておらず、警察当局は会社とのトラブルなどを背景とした組織的犯行とみて捜査を続けている。 この日、現場となった京都市山科区の本社前では、遺族や関係者が手を合わせるなどし、大東さんの冥福を祈った。大東さんの次女、真弓さん(53)は「亡くなったときのままの気持ち。寂しい」と涙を流した。 起訴状などによると、平成25年12月19日早朝、本社前の駐車場で、氏名不詳者らと共謀した特定危険指定暴力団工藤会系組幹部の田中幸雄被告(58)が、大東さんの腹や胸を拳銃で撃ち殺害したとされる。 真弓さんは19日、取材に「(事件の)背景を解明してほしい。指示役も捕まってほしい」と求めた。長男の剛志さんも京都府警を通じてコメントを発表し「犯人の背後関係など事件の真相について、今後の裁判や警察の捜査で明らかにしてもらいたいと、強く強く望んでいます」と訴えた。 今年2月、裁判官と検察側、弁護側が争点を絞り込む公判前整理手続きが始まった。田中被告の公判は「裁判員に危害が加えられる恐れがある」として、裁判員裁判の対象から除外することが決定。争点は田中被告の「犯人性」で、弁護側は無罪を主張する方針だ。 田中被告と大東さんとの明確な接点は確認されておらず、検察側は状況証拠の積み重ねで被告の有罪を立証するとみられる。