長野県安曇野市三郷小倉を「槍ケ岳開山の里」としてPRへ 住民有志が中田又重らの像建立を計画
長野県安曇野市三郷小倉を「槍ケ岳開山の里」として広めようと、地元有志が動き出した。江戸時代の文政11(1828)年に初めて北アルプスの槍ケ岳(3180メートル)に登頂した僧侶の播隆(ばんりゅう)上人(1786~1840)は広く知られているが、案内人は小倉の中田又重(1795~1852)で出発も同地だった。4年後の開山200周年に合わせ、小倉に播隆上人と又重の像を建てるのが目標だ。28日は「信州山の日」―。 有志は3人で、そのうち小倉でリンゴ農家を営む中田信一郎さん(47)は又重から6代目の子孫に当たる。播隆上人と又重は、大日如来像を納める小倉の大日堂で安全を祈り、地元の大滝山を経て登頂したとされる。 如来像と大日堂は中田家が代々守り、現存している。信一郎さんは「小倉から出発したことを多くの人に知ってほしい」と願う。 計画によると、2人の像は宿泊温泉施設・ファインビュー室山、三郷スカイライン展望台が候補地となっている。建立費用は数千万円に上る見通し。クラウドファンディングで資金を募るほか、行政にも協力を要請している。 2人の像は開山150周年で計画されたが、資金などの理由から播隆上人像だけが松本駅前に建立された経緯がある。又重像は旧穂高町出身の彫刻家・小川大系が石こうの型を完成させ、市内に保管されているという。 今月中旬には市民団体「大滝山を愛する人々の会」が大滝山山頂へ通じる登山道の草刈りを行った。その一部は播隆上人と又重が通ったとされる。開山200周年、像の建立に向け、登山道整備の様子を撮影した動画が近く発信される予定だ。 信一郎さんは「松本市や大町市、岐阜県高山市なども一緒に広域で200周年を盛り上げられるようにしたい」と話す。
市民タイムス