従業員のやる気向上へ 高齢者雇用などでセミナー 松阪庁舎で三重県
三重県が経営者・人事労務担当者向けに県内各地で開いている「高年齢者雇用に関する事業所向けセミナー・働きやすい職場づくりセミナー」がこのほど、4年ぶりに松阪市で開かれた。同市高町の県松阪庁舎大会議室の会場とオンラインと合わせて29人が参加した。 4部構成で、第1部は「さらなる働き方改革を進めるための従業員のエンゲージメント向上とは~労働生産性向上と従業員の定着と離職防止~」、第2部は三重労使雇用支援機構による「高齢者生涯現役促進活動に向けた就労関係事例集」、第3部は「企業の未来を拓(ひら)く! 三重から始める働き方改革~若者視点の越境と共創~」、第4部は個別相談会。 第1部では特定社会保険労務士で社会保険労務士オフィス達喜(津市)代表の菊地たつきさんが講演。菊地さんは日本企業のエンゲージメント(従業員の仕事への熱意度)の低さを取り上げ、「熱意あふれる社員」の割合が6%とアメリカの32%と比べて大幅に低く、調査対象の139カ国中132位だったこと、やる気のない社員の割合が7割に達することなどを示した上で、主な原因は上司にあり「(日本企業は)上司の言ったことを、口答えせずに確実にやれば成功するというのが従来のやり方だったが、このマインドを変えないといけない」などとするアメリカのコンサルティング会社の分析を紹介した。 また「承認とやりがい」については、承認のポイントを具体的に解説。相手が気付かない優れた部分(能力、資質、業績、貢献、成長、可能性)や、できたことを具体的・客観的に伝えることが大事で、それをメッセージで伝える際、「(私は)勇気づけられました」「(私は)感動しました」「(私はうれしかったです」「(私は)助かった」などと、私(英語で「I(アイ)」)が主語となって発せられるメッセージ「I(アイ)メッセージ」で伝えると、より効果的と助言した。 菊地さんは「『いつも笑顔がすてき』というのは客観的事実でしかないが、『あなたがいつも笑顔でいてくれることで、みんなが明るくなるんだよね。ありがとう』と言うと『Iメッセージ』になる」と話した。 一方、「承認の弊害」もあると言い、「例えば評価するように伝えてしまうと信頼を得られず、承認の弊害となる。『自分をコントロールしようとしているな』と取られ、認められているとは思ってもらえない」などと具体例を示していた。 第3部では、津市出身の1級販売士で3級知的財産管理技能士、ギャップで学習ナビゲーター代表の奥山夢菜さん(27)が、働きやすい職場づくりについて講演。「ぎりぎりZ世代」という奥山さんは「三重が好き」と地元の三重大学に進学して大学時代に起業し、同大学大学院で教育社会学分野を研究した。「私が思うZ世代の強み」として▶真面目(素直)で共感力がある▶役に立ちたいという気持ちが強い▶多様性への受容度が高く話し合うことが好き▶効率的に物事を進められる──と話した。