SMILE-UP.は勝てるのか…「東山の発言を意図的にゆがめて」と抗議も、英BBCが残していたキーワード
考えられるBBC「編集」の意図
とすると、「別に誹謗中傷を推奨しているわけではない」という発言は紹介しているので、さらに「なるべくなら、誹謗中傷はなくしていきたいと僕自身も思っています」という発言まで放送しなくても、視聴者に誤解は与えないだろう。また、この部分をカットしても、BBC記者から「被害を公表した1人はインターネット上で嫌がらせを受けました。そして、自分の命を絶ちました。被害者をうそつきだと批判する人々にあなたから伝えたいことはありますか?」と聞かれ、「『言論の自由』もあると思うんですね」と答えた東山社長発言の意味合いが変わることもない。BBCはそう考えて「編集」したのではないだろうか。 こうして考えると、BBCの「編集」は東山社長の発言を「ゆがめた」ものには当たらないように思える。果たしてSMILE-UP.による抗議にBBCはどのように回答するのだろうか。そして、この闘いはこれからどのような展開を見せるのだろうか。 ただ、SMILE-UP.については「この闘いより大事な使命があるのではないか」とも感じる。現在、支払率が約30%の被害補償を誠意を持って進めること、SNS上の誹謗中傷を先頭に立って根絶していくこと。こうした地道な取り組みの先にしか、ジャニー氏性加害問題を解決する入り口はない。そのことは、決して忘れてはいけないと思う。 □西脇亨輔(にしわき・きょうすけ)1970年10月5日、千葉・八千代市生まれ。東京大法学部在学中の92年に司法試験合格。司法修習を終えた後、95年4月にアナウンサーとしてテレビ朝日に入社。『ニュースステーション』『やじうま』『ワイドスクランブル』などの番組を担当した後、2007年に法務部へ異動。弁護士登録をし、社内問題解決などを担当。社外の刑事事件も担当し、詐欺罪、強制わいせつ罪、覚せい剤取締法違反の事件で弁護した被告を無罪に導いている。23年3月、国際政治学者の三浦瑠麗氏を提訴した名誉毀損裁判で勝訴確定。6月、『孤闘 三浦瑠麗裁判1345日』(幻冬舎刊)を上梓。7月、法務部長に昇進するも「木原事件」の取材を進めることも踏まえ、11月にテレビ朝日を自主退職。同月、西脇亨輔法律事務所を設立。
ENCOUNT編集部