好調な業績をアピールしたTSMCの魏哲家CEO

半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造（TSMC）の2024年7～9月期決算は売上高・純利益とも過去最高を更新した。10月17日に開かれた決算説明会で同社が明らかにした。 【全画像をみる】AI半導体需要でTSMCは7～9月の売上高・純利益とも過去最高。来年初めに熊本第2工場本体着工へ 人工知能（AI）向けの先端半導体の需要を一手に引き受ける格好で業績見通しを上方修正。世界的に存在感を増すなか熊本県菊陽町に完成した熊本第1工場では10～12月期に量産を開始し、同町で建設予定の第2工場の本体工事も来年1～3月期に着工する。 7～9月期決算は売上高が前年同期比39.0%増の7596億台湾ドル（約3兆5000億円）、純利益は54.2%増の3252億台湾ドルで、市場の予想を上回り、いずれも四半期ベースで過去最高を更新した。回路線幅3～5ナノ（ナノは10億分の1）メートルの先端品の供給が好調だった。 TSMCの魏哲家・董事長兼最高経営責任者（CEO）は、AI関連の需要について「極めて堅調」「リアル（実需）だ」などとして、AI需要が今後何年も続くとの見通しを示したのをはじめ、熊本県菊陽町の熊本第1工場の進展についても、すでに「製造過程の検証を全て終えている」と順調に推移している現状を説明。 第1工場東側の隣接地に建設予定の第2工場については、今年6月から造成工事を進めてきたが、2025年第1四半期にあたる2025年1月から3月に工場本体の工事を始めることも明らかにした。 第2工場では2027年末までの量産開始を目指しており、量産開始後は主に家電製品や自動車、工業、HPC（ハイパフォーマンスコンピューティング）関連の「需要に応える」としている。 また、今年2月に開所した第1工場についても、製造工程の品質や信頼性の確認を終え、量産開始に向けた最終段階に入っており、予定通り年内に量産を開始する予定であることを改めて示したうえで、「台湾の工場と同レベルの製造品質と信頼性を提供できると確信している」と胸を張った。 加えて米アリゾナ第1工場は2025年初頭に、またドイツ・ドレスデン工場も2027年末に量産開始する予定であることも明かした。