雪煙上げ山岳の急斜面を滑り降りる 白馬村で初のフリーライド世界大会予選
ゲレンデ外の自然の山地でスキーやスノーボードの技を競う「フリーライド」の世界予選シリーズ日本大会が17日、長野県白馬村で初めて開催され、国内外の選手が雪の急斜面に挑みました。スキーは日本人選手選考会を経た楠泰輔(くすのき・たいすけ)選手が優勝、スノーボード男子は美谷島慎(びやじま・しん)選手が準優勝の好成績を収めました。 【写真】長野・白馬でフリーライドスキー世界大会 どんな競技? なぜ白馬?
スキーは楠選手が優勝、スノボは美谷島選手が準優勝
今大会はフリーライドの世界大会・FWT(フリーライド・ワールドツアー)のアジア初の予選大会。FWTは非圧雪、非人工斜面で行われるスキーとスノーボードの男女競技で、選手が滑ったライン(滑走ルート)の難易度やコントロール、ジャンプなど5つの基準で採点します。 今回は寒波の影響で当初予定したコースの危険性が高まったため、標高の低い場所で開催。FWTのゲストライダー7人と国際予選リーグを転戦している各国のスキー、スノーボード選手の42人、開催地として実施した日本人選手選考会を経た4人など55人が出場しました。 競技は十分な積雪の山岳地帯の距離500メートル、標高差400メートルの急斜面が舞台。雪煙を上げて滑り降りる選手たちが白銀の白馬を彩りました。優勝した楠選手(大阪府出身)はトップレベルの選手だけが出場するFWTツアーの出場権を獲得。同選手はインタビューに「(滑っているときは)集中していたから短かった。(優勝した瞬間は)ぶちあがった」と興奮気味でした。 スノーボード男子で優勝したトラビスライス選手(アメリカ)とともに準優勝で表彰台に上った美谷島選手(長野市出身)は、楠選手とともに日本勢の力量を印象付けました。
「白馬ブランド」向上のきっかけとなる大会に
FWTの現在の登録選手は世界で3000人以上とされ、競技の普及に伴い今後5年で倍増を見込んでいます。大会はスイスにある競技連盟が主管し、今回はFWT実行委員会と白馬村観光局の主催。 世界各地でレベル別に予選を行い白馬大会は最高レベルFWQ4の予選会。FWQ4でポイントを獲得できた上位10人は翌年のプレミアムシリーズFWTの出場権を得るため、今回も世界各地から選手が参加しました。 競技は平均斜度40度、400メートルの標高差を持つ急斜面、選手が歩いて1時間ほどで競技会場に行けることなどが開催の条件。今回の白馬は競技会場や宿泊施設などが総合的に評価されました。競技連盟は白馬会場の優れた点として(1)競技を楽しめる遊び心のある地形(2)鋭い傾斜があること(3)もっとも重要な点として評価されるのは優れた雪質――の3点を挙げています。 地元の白馬村は、スキー人口の減少などの課題を抱えながらフリーライドによる新しいスキーの楽しみ方が広がることを期待。白馬の雪質を好む外国人スキー客も多いため、大会をきっかけに今後のインバウンド(来日外国人)の拡大に希望をつないでいます。 今大会を終えたフリーライド白馬実行委員会の福島洋次郎副委員長は「白馬のブランド価値向上とバックカントリースキー・スノーボードの安全啓発のきっかけになる大会だった。来年に向けてさらに白馬の大自然が持つ素晴らしい魅力を世界トップレベルのライダーたちの滑りを通して国内外に発信していきたい」と抱負を語っていました。