雨のスーパーGT公式テストでGT500最速を記録したヨコハマタイヤ。ダンプ路面に強いトレッドパターンはGT300でも採用の方向
岡山国際サーキットで行なわれたスーパーGT公式テストの2日目は、午前セッションの後半から雨が降り始め、午後セッションは完全ウエットコンディションとなるなど、不安定な天候となった。ドライコンディションの初日、2日目午前では36号車au TOM'S GR Supraや14号車ENEOS X PRIME GR Supraなどブリヂストンタイヤを履くスープラ勢が好タイムをマークしていたが、2日目午後のトップタイムは一転、ヨコハマユーザーの24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zだった。 【リザルト】24号車が最速タイム。スーパーGT岡山公式テスト:セッション4タイム結果 GT500クラスは今季からミシュランがいなくなり、ブリヂストン(12台)、ヨコハマ(2台)、ダンロップ(1台)の3メーカーでタイヤ開発競争が繰り広げられる。昨年まではミシュランがウエットで圧倒的な強さを発揮していたが、ヨコハマも昨年からちょい濡れのダンプ路面に合わせたタイヤを投入し、存在感を見せていた。そしてミシュラン不在となった今季初の公式ウエットセッションで、ヨコハマユーザーがトップに食い込んできた格好だ。 ヨコハマがGT500で使うタイヤのトレッドパターンは、昨年までミシュランがGT500で使っていたタイヤのように、縦溝をメインに、細かい横溝が入れられているモノ。これについてヨコハマは以前、レースでは雨量の多い状況よりも雨量の少ない状況で走ることが多くなりがちなため(そもそも雨量が多すぎるとレースは中断されることが多い)、雨量の少ないコンディションに的を絞って開発してきたと説明していた。 そして今回のテストの2日目午後は、フルウエットの状態から路面が乾いていき、終了直前はちょい濡れのダンプコンディションとなった。まさにヨコハマが狙っていたコンディションで24号車Zがトップタイムを出したわけだが、これについてドライバーの松田次生は「この時期は(ウエットタイヤとの相性が)悪くないという話は聞いていましたが、実際に乗ってみたらトップタイムを取れました。フィーリングは悪くないと思います」とコメント。マシンのセットアップも含めて総合的にまずまずのパフォーマンスだったと総括した。 ちなみにヨコハマはGT300クラスに関しては、昨年はGT500と違って従来型のパターンを継続使用していたが、今季からGT500と同じパターンを採用する方向とのこと。実際に今回のテストでのそのパターンが使用されており、2日目午後セッションでは6号車VELOREX FERRARI 296 GT3と18号車UPGARAGE NSX GT3がミシュランユーザーの7号車Studie BMW M4に次ぐ2番手、3番手タイムをマークするなど、まずまずのパフォーマンスを見せている。 ヨコハマの白石貴之氏によると、「よりダンプ路面に注力した方がいいだろうという方向性はGT300も同じ。現状として(従来パターンが)厳しいわけではないですが、より上を目指す開発をする中で、新しい方が取り分があるなと考えました」とのことだ。 ウエット路面でのタイヤメーカー間の勢力図が変化するのかどうかも、今季の注目ポイントのひとつだ。
戎井健一郎
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