「地域移行が柱に」 加算認定取得呼び掛け(全国救護施設協議会)
全国救護施設協議会(大西豊美会長)などが主催する「第46回全国救護施設研究協議大会」が17、18両日、札幌市の札幌パークホテルで開かれた。「地域共生社会の実現に向け、セーフティーネットとしての救護施設機能を広げよう]がテーマ。 大西会長は基調報告で、生活困窮者自立支援制度および生活保護制度の改正により新設された地域移行加算費について触れ、「今後の救護施設の柱は地域移行になる。通所訓練などを積極的に実施し、加算認定を取得してほしい」と呼び掛けた。 地域移行加算は、救護施設と更生施設を対象に、地域移行の実績が一定水準を満たす場合に加算される。 要件は、居宅生活への移行を理由にした年間実退所者数を、当該施設の年間平均実人員数で除して得た割合(地域移行率)が、救護施設が2%以上、更生施設は5%以上であること。 さらに、退所者の退所後6カ月間に、原則月1回以上退所者への居宅訪問などで、居宅生活が継続できる見込みがあるかを確認、記録した上で、必要に応じて支援する。 4月末時点で全国の救護施設は186カ所。総定員1万6106人のうち、在所者数は1万5794人となっている。利用者の半数以上が65歳以上で、入所期間も約35%が10年以上と、高齢化や長期化が進んでいる。 地域移行に向けては、同じく制度改正によって義務化された個別支援計画を策定し、利用者の意向を尊重した上で、就労支援、保護施設通所事業の積極的な実施が求められる。 大西会長は「地域移行できる利用者ばかりではない」とした上で、「(要件の)2%はほとんどの施設が達成できるはず。地域との接点を増やすことも、地域移行につながる」としている。 五つの分科会では「地域共生社会に向けた救護施設の取り組み」「虐待・権利侵害の根絶に向けた取り組み」などを研究テーマに、情報共有と意見交換を行った。