米雇用者数、10月は1.2万人増にとどまる-ハリケーンとスト影響
(ブルームバーグ): 米国の10月の雇用者数は2020年以来の低い伸びとなった。一方で失業率は前月から変わらず。10月は強力なハリケーンや大規模なストライキが統計に影響した。
米労働統計局は、ハリケーンが一部業界の雇用者数に影響した可能性が高いとしつつ、雇用や労働時間、賃金の変動に対する正味の影響を定量化するのは不可能だと指摘。そうした統計の情報を提供する事業所調査の回収率は「平均を大きく下回った」と説明した。全米レベルの失業率に目立った影響はなかったとも指摘した。
今回の雇用統計ではまた、製造業の雇用が大幅に減少したことが示された。ストライキが主に影響した。
こうした状況を総合的に見た場合、今回のデータは一時的な要素や特殊要因を除いても労働市場が軟化しつつあることを示唆している。来週は米大統領選の投票日を迎え、連邦公開市場委員会(FOMC)会合も開催される。今回の雇用統計は、これら2つのイベントの前に発表される最後の主要な経済データとなった。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「今回の統計のうちどれがノイズで、どれがシグナルなのかを完全に分析して明らかにするのは困難だが、労働市場は十分軟化しており、安定化になお時間がかかっていることが示唆される」と述べた。
インフレがおおむね鈍化傾向にある中、米金融当局者は労働市場により重点を置いている。市場では、FOMCが来週の会合で0.25ポイントの利下げを実施すると広く予想されている。
今回の雇用統計ではまた、8月の非農業部門雇用者数がさらに下方修正され、7万8000人増となった。ただ9月の雇用者数の伸びは非常に堅調だった。
その後に発表された他のデータも経済活動の強さを示しており、複数の当局者が今後の利下げについてより漸進的なアプローチで望むことへの支持を表明している。今週発表された他の統計では、米経済が7-9月(第3四半期)に堅調なペースで拡大したことや、9月にインフレが加速したことが示された。