ばね指…ネックはスマホ首 首の筋肉硬くなり血流悪く…指先に伸びる血管に悪影響 全身浴&指ストレッチを
【生島ヒロシ オヤジの処方箋】芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(73)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は指が突っ張ったり、曲がらなくなったりする「ばね指」についてです。 皆さんこんにちは、生島ヒロシです。さあいよいよ今年もラストスパート。この時期は年内に仕上げなきゃいけない仕事とか、大掃除とかで、普段より手、指を酷使しますよね。今日は、そんな手、指に関わる「ばね指」を取り上げます。「ばね指の悩みを解消する!」(内外出版社)の著書がある柔道整復師で、さかいクリニックグループ代表の酒井慎太郎先生に教えていただきましょう。 酒井先生、ばね指とはどんな病気なんですか? 「指には骨に沿って、腱という柔軟性のある棒状の組織があります。この腱が筋肉に引っ張られて指が曲がるわけです。骨には腱鞘(けんしょう)というトンネルのようになっている組織が付いていて、腱はこの腱鞘の穴の中を動きます。腱や腱鞘が炎症を起こし、スムーズに動かなくなることで、指を伸ばそうとすると、つっかえたり、ピンッとバネのように動いたり、曲がらなくなったりする病気です。痛みを伴うこともあります」 ばね指のサインみたいなものはありますか? 「朝起きた時、手の指がこわばって動かしにくい、動かすとカクンカクンと引っかかる、指がピーンと伸びたままになるなどがあったら、ばね指を疑ってください。一番出やすいのが中指。次に親指、薬指、人さし指、小指という感じです」 ばね指になりやすいのはどんな人ですか? 「仕事や日常生活で指をよく動かす人です。男性よりも女性に多く、年齢は50、60代が多いです。美容師、理容師、調理師、歯科医、楽器演奏者の方らは発症しやすいです。スマホ、パソコン、ゲーム機を長時間使う方もなりやすいですね。冷え性、血行の悪い方、糖尿病の方も注意してください」 冷え性も関係あるんですか? 「私の臨床経験では、ばね指になる方は冷え性の方が多いです。冷え性は血流の悪さから起こりますから、ばね指には血流が影響していると考えています」 血液の流れが重要なんですね。 「血流が改善すれば、腱がしなやかになりますし、炎症を起こす物質も取り除かれることになるので、痛みの軽減にもつながります。ばね指の予防・解消のセルフケアとして指のストレッチをお勧めします」 酒井先生オススメの指ストレッチ(別掲イラスト)をいくつか紹介します。無理のない範囲でやってみましょう。 「ばね指は首のトラブルとも関係していると考えています。ストレートネック、通称“スマホ首”です。首の骨である頸椎(けいつい)は本来、緩やかなカーブがあり、成人で約6キロの重さがある頭部を支えています。カーブがクッションの役割を果たしているわけです。スマホを見て前かがみの姿勢を取り続けると、頸椎が真っすぐになってしまい、頭を支える首に負担がかかります。筋肉が硬くなり、血流も悪くなります。首からは指先に向かって血管が伸びていますから、ばね指に影響していると考えられるわけです。私の施設では、ストレートネックを治すとばね指が改善したという患者さんが多くいます。ストレートネック解消のストレッチ(別掲イラスト)も試してみてください」 “指は首から”とも言えるわけですね。 「頸椎、胸椎など24個の骨からなる人間の背骨は、横から見ると、体の中心ではなく後ろ側に位置しています。内臓は前の方にあるので、放っておくと前傾姿勢になってしまいます。特に日本人は世界で一番姿勢が悪いともいわれています。前かがみになっているなと思ったら、倒れないように注意しながら、体を少し後ろに反らして、背骨を本来のS字カーブ状に戻すように意識してください。首の血流の改善には、お風呂で体を温めることも大切です。半身浴ではなく、湯船に首までつかる全身浴。肘も湯船の縁に投げ出さずに、お湯の中へ。その状態で指のストレッチをやってみてください」 うわ、想像しただけで血が指先まで巡っていきそうです。 「ばね指の治療には、痛み止めの注射、服薬、テーピング等で固定などがありますが、どうしても改善しない時は、腱鞘を切開する外科的手術も選択肢です。保険適用ではありませんが、指に体外再生圧力波を照射する治療もあります。痛みが出ている部位には余計な血管があることが多いのですが、それを体外再生圧力波の衝撃で壊し、組織の再生を促す方法です。ばね指の改善に効果が期待できます」 酒井先生は、ばね指は20代ではほとんどないとおっしゃってましたが、スマホ全盛時代ですので、これからは若者が増えてくると懸念されていました。今年の年末年始は“奇跡の9連休”なんていわれてます。スマホ、パソコン、ゲームをやる時間がたっぷりあるということ。指と首のストレッチは忘れないようにしてください。全国的に冷え込んでますから、体調管理はしっかり、体も温めましょう。ばね指の予防にもなりますからね! ◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の73歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。健康に関する名物コーナーに登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。元為替ディーラーで経済評論家の岩本さゆみ氏との共著「日本経済 本当はどうなってる?」(青春出版社)が販売中。