【写真特集】購入希望者殺到「1ユーロ住宅」が変える過疎地の未来
イタリアでは南北に細い国土の半分ほどが地理的、社会的に隔絶された「忘れられた町」。新規住民を呼び込む激安住宅は、僻地の活力を取り戻す切り札となるか
イタリアには「忘れ去られた町」が無数にある。地理的にも社会的にも周辺から隔絶された小規模の自治体や集落が、全土に点在。その総面積は国土の半分を占め、全人口の4分の1近い1300万人が暮らしている。 【写真特集】「1ユーロ住宅」が変える過疎地の未来 こうした地域は、急激な人口減少が進むイタリアの中でもひときわ過疎化が深刻だが、政治は有効な手を打てていない。公共交通網や医療体制、教育など基本的な生活インフラさえ満足に提供されておらず、公立高校がない自治体は8割、中学校さえない自治体も4割近くに達する。 国の支援が期待できないなか、危機的状況を自力で打破しようとする試みが広がりつつある。新規住民を呼び込みたい自治体が注目するのが、空き家になっている住宅を1ユーロという破格の値段で販売するプログラムだ。自然に囲まれた豊かな田舎暮らしを求めて移り住む人が増えれば、新たな雇用やビジネスチャンスにもつながる。 実際、購入希望者が国内外から殺到してオークションが行われるケースもある。「1ユーロ住宅」はイタリアの僻地が活力を取り戻す切り札となるだろうか。
Alessandro Gandolfi