パイロットの卵、能登の空戻る 日本航空大学校、訓練を再開
能登空港に隣接する日本航空大学校(輪島市)は11日、能登半島地震後としては初となるパイロットを養成する飛行訓練を行った。操縦科の学生が小型訓練機で空港を離陸し、能登半島の上空で飛行技術を学んだ。大学校の授業としても地震後では初めてで、教官や学生は被災地の空を飛ぶ航空機が能登復興のシンボルになることを願った。 【写真】滑走路から飛び立つ訓練機=11日午前11時12分、輪島市の日本航空大学校 飛行訓練では、大学校の3年生6人が旅客機の副操縦士を務めることができる免許「事業用操縦士」取得を目指す。大学校では昨年9月から能登空港を利用した訓練を始めたが、地震で中断していた。校舎や滑走路などの施設の安全性が確認されたため、訓練を再開した。 学生は能登空港キャンパスの駐機場で4人乗りの訓練機を点検した後、乗り込んで滑走路に向かった。同乗した教官の指導を受けながら輪島の空に飛び立ち、地上の教官と無線でやり取りしながら能登半島上空を飛行した。穴水町や七尾、珠洲市の上空を飛び、約1時間で能登空港に戻った。 飛行訓練中の運航管理の様子が報道陣に公開され、運航管理の教官と訓練機が天気の情報や着陸時間などを連絡していた。 学生は来年3月ごろに飛行訓練と講義を終え、国土交通省による国家試験に合格すれば免許を取得する。 大学校の学生約400人は地震を受けて能登空港キャンパスから県外に避難し、キャンパスで授業を再開するのは飛行訓練が初めてとなる。10月には大型ヘリの整備を学ぶ学生も戻る。 訓練再開に先立ち、浅川正人学長が「頑張る姿が能登の人に喜んでもらえる。安全第一でライセンス取得に努めてほしい」と学生に呼び掛けた。訓練を終えた赤尾拓哉さん(22)は「上空から見ると、崖崩れが起きた場所もあった。さみしい気持ちになったが、訓練を重ねていいパイロットになりたい」と話した。